好物頂上決戦【月島 蛍】

ツンデレと拳。 ページ42

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翌日、再び仙台市体育館。

の前に佇む烏野高校バレー部のみんなの顔つきは、今まで以上に険しかった。





「仁花ちゃん、ついにここまできたね…！」

「うん…そう、だね…」

「えっ、顔色悪くない！？どうしたの！？」

「ごめ…緊張で口から心臓出そう…」







顔を真っ青にして歩く仁花ちゃんの背中をとりあえずさすりながら体育館の中に入る。


烏野 対 白鳥沢の文字を見て、本当にここまできたんだなあ…と改めて実感した。







「(う、そう考えたら緊張してきたかも…)」





相手は全国出場常連高。

に対してこっちは経験数も少ない。



単純に考えて、勝てる確率はとても低い。




月島にあれだけ大口叩いといて、やっぱり勝てないかもしれない…とネガティブ思考になっていた。




思わず下を向きそうになったとき、

急に頬を強くひねられた。





もちろんそんなことする人は1人しかいない。









「ブサイクな顔。あ、いつもか」

「いだだだ、」

「餅みたいウケる」

「ええい、反対側も一緒に引っ張るのやめろ！痛いッ！」






意地悪く笑って頬をつねる月島の両腕を掴む。

アッ、この人意外とパワーある？パワー2じゃなかった？ていうかホント頬ちぎれそう！！







「餅どうでもいいから離せバーカ！突然なん、」

「お前さ、緊張してんデショ」

「え」

「顔見たら分かる」







月島はパッと手を離して、何事もなかったように歩き出す。






「…(人1)は常にポジティブでいてくれなきゃ、僕の調子狂うから、

…大丈夫だから、笑ってなよ」







その言葉は、今の私の胸に、深く刺さった。

他人にとっては大した言葉じゃないかもしれない。



でも私には大事な言葉。月島がくれた、大事な言葉。





私は月島を追いかけて背中を思いっきり叩いた。







「…ありがと。月島って最近私に甘いよね。デレ期？」

「っ、ハァ！？そんなんじゃないし！大人しい(人1)とか気持ち悪すぎるって思っただけだし！勘違いしないでよね！バーカ！」


「ツンデレか」




「お〜い、そろそろアップ入るぞ〜」






大地さんの言葉に口をつぐむ私と月島。



私はため息を１つ零して、月島に拳を差し出す。









「…飛べ」

「横断幕の言葉言っただけじゃん」

「うるさい。頑張れはお守りに込めたもん」

「あの下手くそなやつね」

「ウザッ」









私達は互いに笑って、


小さく、でも強く、拳をぶつけた。

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