好物頂上決戦【月島 蛍】

肩を借りる。 ページ35

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「…なーんか、あっという間でしたね」

「ね。亀野さん見てて面白かったよ。この前の自主練の時の、」

「赤葦さん、それ忘れてくださいって言ったヤツ！」

「ごめんごめん」

「おーい。ツッキーの顔酷いからそろそろやめてもらっていいですかネ」








合宿は、あっという間に最終日を迎えた。


5日間って早いなあ。でも、烏野にとって、確実に成長できた5日間だった。

日向と影山も仲直りした(？)し。




帰り際、赤葦さんと話してたら黒尾さんが横から乱入してきた。


え、と後ろを見ると、これまでにないくらい眉間にシワを寄せた月島が機嫌悪そうに立っていた。









「えぇ、何で怒ってんの…」

「気にしないでいいよ亀野さん。絶対俺のせいだから」

「…僕をからかうのやめてください、赤葦さん」

「ごめん、なんかもどかしくて、つい」






そう言う赤葦さんを、黒尾さんは『赤葦性格ワリィな…』と苦笑いしながら見ていた。








「バス出発するって。ホラもう行くよ」

「あ、うん！じゃあ赤葦さん、黒尾さん！また！」

「…ありがとうございました」

「おーう。またな〜」

「またね、月島。







…と、またね、(人1)」








赤葦さんは意味深に笑って手を振る。






あ…赤葦さんに名前を呼ばれただと！？







私も名前で、と思った時、

グイッと月島に強く腕を引かれる。







「赤葦さん、次会った時覚悟しといてくださいね」

「その時までに関係なんとかなってればね」

「……」

「赤葦コワッ」







月島は軽く舌打ちして、また私の手を引いた。


今度は、少し優しく。









「あの〜…月島、」

「なに」

「…今回も、隣、座っていいの？」






そう言えば、月島は一瞬キョトンとして、







「…(人1)ならどうせ、嫌って言っても座るんデショ」

「だってそこしか空いてないし」

「じゃあ聞かなくたっていいじゃん」

「…いいんだ」








ポスリと月島の隣に座る。


何日か前までは、嫌だった月島の隣も。









「…へへ、」

「なに。気持ち悪いんだけど」

「何でもない…ねえ、眠くなったら肩借りていい？」

「…好きにすれば」







今は、心地よい。






動き始めたバス。


私はすぐに眠くなって、月島の肩に頭を預けた。




前みたいに小言は言われない。









「(…どうか、胸の高鳴りは聞こえませんように)」









静かに、まぶたを閉じた。

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