あーんとドSな治。 ページ36
.
「凄いこと、って、」
「あれ忘れたん？俺、(人1)の太ももも胸も触ったやん」
「ッ…！」
「あーキスは未遂やったな二回とも」
「ちょ、もう恥ずいからやめや…」
思い出すあの日とあの日の記憶。
この人なんでこんな淡々と喋れるの？
「顔真っ赤やで、大丈夫か〜？」
「ホンマ、確信犯！ドS！ウブな私を弄んでさぞ楽しいやろうな！！」
「おん。ホンマに楽しいし、美味そうや」
「はあ？」
「ほら、クリーム溶けてまうからはよ食べや」
もう一度差し出されるフォーク。
私は意を決して、口を開く。
パクリ。口の中に入ってきたケーキは、私の想像以上に美味しかった。
「おいし、」
「良かったなあ。もうあげへんで」
「分かっとるって。あ、フォーク…」
「ん？」
せめてフォークを紙で拭いてから食べてもらおう、と思っていたのに、
治はもう、ケーキを自分の口の中に入れていた。
「なん？」
「…いや、もうええよ、ケーキありがとうな」
「あれ、そこは俺にもあーんする流れちゃうの」
「え、」
なんでこの人今日こんなドSなん。
ポカーンとしていると、フォークを持った手を掴まれて、
一口に切ったケーキが、治の口の中へと消えた。
「…は、」
「お、こっちも美味いやんか」
「…そう、やね…」
「あれ、大丈夫か？」
心臓がうるさい。
キャパオーバーしすぎて自分自身がどうなってるかもう分からない。
「耳まで真っ赤やで？そんな赤くなることないやろ」
「…治、アンタずるい人やなぁ」
「お、もしや俺に惚れたんか」
「…惚れ、」
とっくに治が好きなのは分かっている。
これは恋だと。
治の行動一つ一つに赤面して、動揺して。
今、胸の高鳴りが止まらないのも、そのせいだ。
でも、
「…今の言い方、侑そっくりやったで」
「は？んなわけあるかアホ」
「ほらそういうとこも。さすが双子やな〜」
「ニヤニヤやめろおにぎり食わすぞ」
言えない。
結末を知っているから。
この恋は、するだけ無駄だと。
私自身が、そう告げている。
だから、せめて。
「思い出に、させてな」
「なんか言ったか？」
「なんも！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 726人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
亀さん - 完結おめでとうございます！治最高…………次回作も読ませていただきます！ (2020年4月2日 10時) (
レス) id: 99a2eebfea (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - やまうみ。さん» コメントありがとうございます！初期からのファン…！嬉しいです、私の作品読んでくださってありがとうございます(^ ^) なるほど…おじいさまの名言、必ずやどこかで使わせていただきます！もう少しで完成するので待っててくださいね〜（＾ν＾） (2020年3月31日 23時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - しぃらさん» コメントありがとうございます！ドSの治による荒治療はいかかでしたか？(^ ^) それはまずい！もう一度宮治の荒治療を受けることをお勧めします(無限ループ)← 死なないで〜…次回作もぜひ読んでくださいね！ (2020年3月31日 23時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - ルナ・エイヴェルさん» コメントありがとうございます！過呼吸ぎみですけど大丈夫ですかッ(*_*) 結婚します(真顔)← ぜひぜひひっそりとニヤニヤ、キュンキュンしながら読んでください〜(^^) (2020年3月31日 23時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 狐さん» コメントありがとうございます！いえいえ！そう言ってもらえるだけで明日を生きる活力になるので大丈夫です← ぜひぜひ、次回作もよろしくお願いします〜(^^) (2020年3月31日 23時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：はるか
| 作成日時：2020年3月22日 23時
