好物頂上決戦【宮 治】

バーカバーカ。 ページ6

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それは、突然だった。





「今日の昼みんなで飯食わへん？」

「え、」





治に朝練のときにそう言われた。

私は弁当だったから今までクラスの子と食べていた。





「いや？」

「嫌やないけど、私おってもええの？」

「ええから言ってんけど」

「分かった、今日弁当やないからよかった」







そう言った自分を後からひたすら後悔した。





昼休みになって、私と双子、角名、銀島くんの5人で食堂のテーブルに座る。




…周りからの視線が痛い。

側からみたら大柄の男に連行される女みたい。結構地獄絵図。





「…やっぱ戻る」

「面白いからダメ」

「角名鬼畜すぎるやろ…今日弁当持ってこれば良かった…」

「どんまい」







頼んだチキン南蛮セットをテーブルに運び座る。

ご飯は大盛り。






「うわ、(人1)、サムと同じくらい食うやん」

「実は私結構食べるねん」

「お腹ぷよぷよとか」

「角名、セクハラやで」






左隣から伸びてきた角名の手を払う。

銀島くんと席交代したいまじ。





私の右隣に座る治は、焼き肉定食。ご飯めちゃくちゃ盛ってる。






「飯食うとるとき1番幸せよなあ」

「わかるわかる」

「チキン南蛮一個ほしい」

「断る〜」






右隣から伸びてきた箸をはたき落とす。

油断も隙もねえなこいつら。







「治は苦手なもんとかあるん？」

「うーん…ないなあ。食いもんはなんでも美味い」

「…うん、そんな気しとったわ」

「(人1)は？意外と苦手なもんめちゃくちゃありそうやな」

「豆は嫌いかなあ…









あ、あとおにぎりも実はそこまで好きじゃない」









カシャン。

右隣から、箸の落ちる音がする。





フルフル、肩を震わす治。









「…おにぎり好きじゃないってどういうことや」

「え、米がぎゅって凝縮されてるあの食感が好きやなくて…冷えたら美味しないしさ。

あと、どっちかっていうと米よりパン派やねん私」






器に盛り付けられたご飯はちゃんと食べれるからな？






そう言ったけど、どうやら治はお気に召さなかったらしい。


バン、と机を叩いて立ち上がり、私を指差す。








「俺がしぬほど好きなおにぎり苦手なお前はクソや！日本人やめろや！バーカバーカ！」






そう言って、お盆を持って立ち去る治。







「…そこまで言わんでええやろバーカ！！」






私も叫ぶ。






こうして、私と治の争いが幕を開け、


1年が経とうとしていた。

ザマァやな。→←絆されてしまった。

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