好物頂上決戦【宮 治】

もう少し、このまま。 ページ38

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「…どんだけ食うねん」

「(人1)もポテトL食うとるやん」

「いやアンタよりはマシやろ」






マクドに来て、周りの人がポテト食べてたらなんだか塩気のものが食べたくなって、

結局、たのんでしまった。





そしたらどうだ。

治はポテトに、ハンバーガーに、ナゲットまでつけてきた。


いや、デザート食べてたのまだ1時間まえだけど？





私は引きながらポテトを口に運んだ。美味い。

チラッと見れば、もうトレーにはナゲットはなかった。末恐ろしいわコイツ。





「…なんか顔についとる？」

「いや、なにも」








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「なんや、あっという間やったな」

「せやな。まあ苺たくさん食べれたからホンマ満足や」

「幸せそうな顔しとったもんなあ。見て」

「なんや…あっ！？いつ撮ったんや！消せ！」

「嫌や」








日が傾いてきた、茜色の空の下を歩く。


本当にあっという間すぎて、少し寂しい。








「…今日、誘ってくれて、ありがとうな」

「おん、」

「でも、なんで私誘ったん？治なら、誘えそうな子いっぱいおるんちゃう？」






それは、誘われた時からずっと抱いていた疑問。

言えずにここまできたけど。






「…誰誘おうかと思ったときに、最初に(人1)の顔が浮かんだからやな」

「私の、顔…？」

「おん。いっつも俺の視界の中で美味そうに飯食っとるからやきっと。

そんで、前に行きたがっとったことも思い出したからや」


「じゃあ、私断っとったら…？」







私と治は、言うなれば犬猿の仲。

私が、行くって言わないかもしれない。







「そしたら、行かへんかったな」

「え、行かんの…？」

「おん。お前みたいに、『美味しい！幸せ！全種類制覇！』言うとる奴と行くんが1番ええ」




そもそも女の連絡先とかあんま知らんし。




私は、その言葉にどこか安心した。








「なんや送ってもろて…ありがとう」

「ん。あ、忘れとった。これ」

「え、何…ヘアピン？」

「おん、前髪長いねんお前」






手に渡された蝶のモチーフのヘアピンをまた奪われ、するりと前髪につけられる。



そして、治は笑う。









「…やっぱり、よぉ似合うな。かわええ」







ずるい。




ずるい。






私は、治の腕を掴む。









「…ありがとう、









…あの、その、もうちょいこのままが、ええ…。

まだ、帰らんといて…」


「…おん」









互いの頬が赤いのは、夕日のせいか。



それとも。

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