涙の真意。 ページ46
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「…こんなところまで来ちゃった」
気付いたら、人気の少ないところまで歩いていた。
まあかろうじて花火は見えるだろう。
なぜかそこにはベンチが置いてあって、私はそこに座った。
ベンチが置いてあるってことは穴場スポット?なのかな…
「うわ、ひどい足…」
鼻緒が切れた右足は、
膝擦りむいて出血、指の間も鼻緒が擦れて皮がむけていて、
足の裏も切り傷だらけ。
「…格好悪いな、自分」
ずっと分かっていたこと。
幼なじみは、どこまでいっても幼なじみだって。
所詮、漫画の主人公みたいになれるわけないって。
「…バカみたい。1人で浮かれてさ、」
倫太郎にとっては幼なじみ。
好物を否定してくる、憎い相手。
そんな相手に、浴衣似合うね。なんて言わない。
手繋いだのだって、幼なじみゆえ何でも許されると思っているから。
耳が赤かったのも、見間違いかもしれない。
「っう、こんなんだったら…好きに、なんなきゃ良かった…
なんで、好きになったんだろ、私のバカ…ッ」
倫太郎のあの目は、
愛おしいものを見ているようだった。
振ったのは倫太郎だ、っていっても、
私には、違うように見えた。
髪飾りを1つ外して手に乗せる。
この髪飾りは、倫太郎のお母さんが作ってくれた、大事なもの。
…3年前、まだ転校が決まる前の夏。
私はその髪飾りをつけて、
初めて、倫太郎と2人だけで東京の花火大会に行った。
『その髪飾り、実は俺もちょっと手伝ったんだよね』と恥ずかしそうに笑った倫太郎が忘れられなくて。
「(気付いてたかな、倫太郎…ああ、もう今更遅いか)」
侑からまたLINE。
《どやった?まだ告白しとらん?》
「…せっかく色々考えてもらったのにね」
侑に、ごめん。と打とうとしたとき、
こちらに走ってくる足音が聞こえた。
…少女漫画ならここで、好きな人が来てくれる。
けど、私は期待なんか___
「…見つけた」
「っ…りん、たろ…なんでッ」
「一つ聞いていい?さっきと今の涙は、
…俺のために、俺を想って、泣いてくれてると自惚れていい?」
返事をする前に、
優しく倫太郎に抱きしめられる。
「何か勘違いしてるかもだけど。
…俺は、(人1)の事が好きだよ」
ハラリ。
また涙が溢れた。
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あやね - 「離れ離れの1年ちょっと。」のところの角名君の出身地は、愛知県です!! (2022年11月2日 18時) (レス) @page4 id: 04b5e98dd0 (このIDを非表示/違反報告)
すなりんん - 涙が勝手に溢れてきましたごめんなさい「?」 (2020年4月22日 1時) (レス) id: 22d4d41058 (このIDを非表示/違反報告)
紺(プロフ) - え、好きです (2020年3月24日 10時) (レス) id: c01d9ddcd5 (このIDを非表示/違反報告)
のん - 再び失礼いたします。完結おめでとうございます!!!!角名はやっぱ色気の塊ですね!えっrrr((素敵な推しをありがとうございました!治も楽しみにしております。がんばってください!! (2020年3月22日 23時) (レス) id: a9c340b6bb (このIDを非表示/違反報告)
亀さん - 完結おめでとうございます!!!やっっっっと結婚しましたね!!!←角名くんすきぃ……次回作も読みます!!!佐久早好きなの分かりすぎて泣…………サム楽しみにしてます!!! (2020年3月22日 22時) (レス) id: 1af3b4280f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はるか | 作成日時:2020年3月8日 1時