好物頂上決戦【宮 侑】

虫刺されにはご注意。 ページ10

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「なんでおるん？」

「飲みもん買いにきたからに決まっとるやろ。アホか？」

「アホはお前や。

そうやなくて、ドリンクとか準備されとらんの？」

「この暑さや。需要に対して供給が追いついとらん。

他のみんなももうすぐ来るやろなあ」



つまりはドリンクが間に合わないってこと。

そんなことあるんだ。




というかアホな侑にしては難しい表現使ったな…

口に出そうかと思ったけどまたしつこくなりそうだからやめた。






「明日からインターハイやろ」

「せやで。そのちっこい頭でよう覚えとったな〜」

「なんや。せっかく気まぐれに応援したろうと思っとったんにやっぱ殺意しかわかんわ」

「わいたところで自分じゃ俺に敵わんやろ〜」

「顎に頭突きかましてええ？」





もうだめだ。ここから立ち去りたい。

でもここは外の風が吹いてて少しだけ、ほんの少しだけ涼しい。





「なあ汗かきすぎちゃう？髪風呂上がりみたいなってんで」

「教室扇風機ないもん…まあ楽器心配やからもうそろそろ切り上げて戻るけど…

アンタは体育館おったんに何でそんな汗かいとらんの」

「鍛え方がちゃうねん鍛え方が。2年経ったらもう慣れてもうたわ」

「バケモンやな」





誰がバケモンやねん！とツッコむ侑を無視して水を飲む。

すーっと冷たさが喉にしみて、心地よい。




それでもやっぱ暑くて、制服をパタパタとして首元に少しでも風を取り入れようとする。





…と、侑がじーーっと、こっちを見ていることに気づいた。


早く部活戻れや←







「なに」

「首、赤なってんで」

「どこ？」

「ここ」

「ひゃ、」






さっきまで少し遠くにいた侑がいつの間にか目の前まで来ていて、

すっ、と私のうなじを触る。




思わず変な声が出て、侑の指が止まった。

うぅ、しにたい…






「ほぉん…虫もええとこ刺しよるな」

「ちょ、ホンマ首無理、触るのやめ、」

「いつも髪下ろしとるやん、今日ポニーテールやから刺されたんとちゃう？」

「やって暑いし…ええからもう離れ、」

「なんやコレ、」









男にシルシつけられたみたいやな？









そこにいたのは、




見たことないくらい、妖艶な笑みを浮かべた、侑。







「な、に、」

「可愛いとこもあんねんな、(人1)チャン？」





なにこれ、





「なあ、」





知らない。





「うまそうやな、」






逃げようとした腕を、

侑の力強い手が、つかんだ。








こんな侑、知らない。

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