好物頂上決戦【宮 侑】

指切りげんまん。 ページ35

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必死に努力しとるんを、俺はちゃあんと知っとる。







その言葉だけで、救われる自分がいた。






「俺も、わかんねん」

「？」

「どんだけ頑張っても、上に行くほど苦しさしかないねん。

クソ、って這いつくばって。もう嫌やって。


けどやっぱ、"楽しい"が少しだけ見えた時、また立ち上がれるんよ」





自分もそうやろ？


コクリ、頷く。





「立ち止まってええねん。振り返るんも大事や」


って、北さんに前言われてん。





いや北さんの言葉なの。

思わず笑ってしまう。






グッと顎を持ち上げられて、侑と目が合う。






「いやや、やめ、」

「笑ったったほうが似合うで、(人1)は。またほっぺムニムニしたろか？」

「嫌って言ってもやるやろ」

「ご名答」





さっきまで憂鬱だったのが嘘だと思うくらい、

心は清々しかった。




侑も、まるで今までのことを忘れるみたいにたくさん触れてくる。



恥ずかしいけど、大きな手が心地よい。






「あ、れ、てか彼女いいの」

「あー明日には別れてるやろな」

「なんで！？」

「合わんかった」





サラリと言いのける。



あんな幸せそうだったのに…

その言葉をグッと飲み込む。








「ん。忘れるとこやった、」

「なん？」





侑から離れ、鞄から袋を取り出す。






中には、プリン3個。







「治にもあげてんけど…

侑、私からのプレゼントや。おめでとう」


「あ〜！もうもらえない思うてた！ありがと！」


「放課後また買いに行ったんやで。ありがたく食べてな」





おん、と言ってすでに一個食べる侑。


やはりDNAおんなじや…







「そいや聞いたで。告白されたらしいやん」

「口軽いなあやつは」

「…付き合わんといてな、」





悲しくなるから。








ずるい男だ、と思った。




その一言は、束縛だ。

愛のある言葉ではないのに、



じゃあ付き合わない。と勝手に思ってしまう。







「自分は、付き合ったくせに？」

「おん、でももうええわ」

「なんで？」

「なんででも、や」







ちゃんとごめんなさいって断るんやで？


小指をとられて、絡める。





指切りげんまん、


終わったのに離れない小指。






いや、離したくない




指から伝わる侑の熱。







ドクリ、ドクリ。






「ふふ、



もーちょいこのまま、いよか」









角名りんごめん、






私、やっぱり侑が好き。







だって、これを恋と呼ばずして何と呼ぶ。

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