好物頂上決戦【宮 侑】

2年1組。 ページ4

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あれは4月のことだった。





学年がかわると同時に起こるクラス替え。





「お、ゆっきー今年も一緒やん！」

「ラッキー！今年もよろしくな(人1)〜！」





去年から仲の良かった、ゆっきーと今年も一緒のクラスだった。

ツイている。





ルンルン気分で自分の席に向かうと、

前の席の男子がもぐもぐとおにぎりを食べていた。





「(えぇ、まだ9時前やで…朝ごはん食べんかったんやろか…ていうかおにぎりめっちゃ美味そう…

待てよ、この後ろ姿は、もしや…)」





悶々と色んな思考を繰り広げていると、視線を感じたのか、

前の席の男子がくるりとこちらを向いた。






あ、




「宮くんやんな、えぇと、治くん、のほう…？」

「おん。アンタは吹奏楽部の…村原さんやな」

「知っとるん？」

「去年、1年のくせにトランペット上手いって有名やったで」





もぐもぐ、とおにぎり食べながら話す治くん。





＿＿＿あの、宮ツインズの片割れ。



宮ツインズは、1年の頃からめちゃくちゃ有名だったから、多分知らない人はいないし私が知っててもなんらおかしくない。



そして、私と宮ツインズは、去年どちらとも同じクラスにも委員会にもならず、全く関わりがなかった。


だから、『去年から知ってるで』と言われた時は正直驚いた。






「ところで、」

「なん？」

「…そのおにぎりの具、中身何なん？」



美味しそうやなあって思ってずっと気になってんけど…





私がそう言った瞬間、

治くんは私の手を握り、





「(人1)とは今日から友達や」





見たことない笑みで言い放った。

さらっと名前で呼ばれたような。





「…え、おにぎりで？」

「おん。悪いヤツやないと認識したで」

「…単純なんやな治くんって」





「ホント、食い物の事になると単純だよ、治は」




物音も立たずに急に横に気配を感じてビックリする。

忍者か！←






「初めまして、村原さん」



ヘラリ、と薄く笑う、

ピョンと後ろの髪が跳ねた、高身長の彼は。






「えっ、と…たしか、すなくん…？」

「あれ、俺のことも知ってたの」

「1年の頃に、バレー部好きな友達に教えてもろたんよ、一方的にやけど…笑

すな、って苗字あんま聞かんから覚えてたわ」



私もヘラリと笑い返せば、

よろしくね、(人1)。と手を握られた。


あれ、また名前。









…バレー部、距離感近いなぁ。

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