10月5日。 ページ29
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10月5日。
この日の女子たちはバレンタインデーの次ぐらいに怖い。
その日、朝練を終えた治はヨロヨロと力なく私の前の席に座った。
手には、大量の紙袋。
机には、これもまた大量のプレゼント。
(もはやお供物みたくなっていてちょっと笑った)
「おはよ治。大丈夫?」
「おん…女子の波でなかなか教室たどりつかんかったわ…」
「こわ…角名りんは?」
「余裕で双子の横抜けてきたよ」
俺って存在感ないんだね、って真顔でピース決める角名りんに更に笑ってしまった。(失礼)
「プリンは!?」
「後で購買で買ってきたるよ」
「今欲しいねんけど〜」
「持ってないもん。無理や」
治にチョップをかますと、手の中の可愛くラッピングされたお菓子がポロリと落ちる。
ああ、本当。女子って怖くて、でも可愛い。
その後、治の魂はほぼゼロに等しくなった。
休み時間の度に呼び出され、増えていくプレゼント。
先生までも、『今いくつもろたん?』なんて少し楽しんでいた。
「…角名りん、今日は大人しくしてよか」
「そうだね、巻き込まれないようにしよ」
「私購買行ってくる」
「はーい」
また治が呼び出されていなくなった3時間目の後の休憩時間、
私は購買へと足を進めた。
「(プリン、残っとるかなあ…)」
2組の前ももの凄い人だかりができていた。
「侑先輩、誕生日おめでとうございます!」
「おおきに〜」
「先輩、これも…!」
うわあ…
若干ひきつつ、ちょっとモヤッとして、
侑に気づかれないよう、女子の波をかき分けて前に進む。
「(人1)」
…私の名を呼ぶ声が聞こえる気がするけど無視、
「お前じゃボケ」
「ぐはっ」
制服の首根っこを侑につかまれた。
え、こんな近くにいたっけ。
「あー…誕生日オメデトウゴザイマス」
「そない嫌そうな顔で言うなや」
「条件反射や…てかプレゼント、すごい量やな。
彼女おるんやからほどほどにしときや」
彼女、悲しむで。
私の言葉に、侑は少し悲しそうに笑って、
おん。とだけ呟いた。
そして、目の前に出される手のひら。
「…なに?」
「ん」
「いや、なに?」
「…(人1)は、俺に、」
遠慮がちな侑の目と目が合った瞬間、
「いた!侑先輩!!」
「受け取ってください!」
「あ、(人1)、」
後輩達が押し寄せてきて、
私は軽く手を振り背を向けた。
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ひぉん - とてもドキドキしました!もどかしくて、早く付き合っちゃえよ~!と思っていました!最後の後書きではるかさんの仰っていた「侑はモテるが故に恋に落ちる瞬間や気持ちが欠けている」の所、解釈の一致で全私がスタオベしました、!笑これからも楽しみにしています! (2020年8月18日 1時) (レス) id: 63fe28e87a (このIDを非表示/違反報告)
のんちゃん - めっっっっちゃ面白かったです!これで読むの2回めなんですが何回見ても面白くて宮侑はかっこよくてドキドキしてもうほんとに最高でした!私も中学の時吹奏楽部だったのでこういうの憧れます!体に気をつけてこれからも頑張ってください! (2020年3月16日 9時) (レス) id: 03b3e3161b (このIDを非表示/違反報告)
さむつむ(プロフ) - はるかさん» 治くん、ありがとうございます!!!!めっちゃ嬉しいです! (2020年3月6日 12時) (レス) id: 0a4236f730 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - りぃにゃんさん» コメントありがとうございます!!ツッキーとクロ、二人とも挑発上手なので書きがいありそうです笑 実は治の小説の次に書こうかなと思ってます、また楽しみにしていてください(^^) (2020年3月6日 0時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - みろるさん» コメントありがとうございます!最初の作品から読んでくださってるなんて…!とっても嬉しいです(^^)私もすなりん大好きなので頑張ります!また応援よろしくお願いします!! (2020年3月6日 0時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はるか | 作成日時:2020年2月27日 20時