好物頂上決戦【宮 侑】

日焼けした頬。 ページ21

.





「わ、(人1)ハンバーグ2個盛ってる」

「さすが(人1)や。ご飯もあの量」

「ハンッ。さすが豚やな」

「何しれっと座っとるん？お引き取りください言うたやろ、なぁ」





私の意見など聞かずに隣に座る侑。

と、その向かいに座る治と角名りん。


銀島くんも後からきて、ごめんな？って顔して侑の隣に座る。





きゃあきゃあ騒ぐ吹奏楽部の女子をしれっと無視するバレー部ほんとこわい。

あぁ、さえちゃんも隣に座る治にちょっとソワソワしてる…






「榊ちゃん、場所かわろ？侑の隣やで？」

「えっ、嬉しいんですけど、その、ご飯どころじゃなくなりそうなんでええです…」

「なんでや…」




後輩にかわってもらう作戦は失敗。

ならば無視するまで。




視界に入れないように味噌汁をすする。


でもそれを許さないのがこの男たちである。





「(人1)ちょお焼けた？ほっぺた赤くなってんで」

「…さっき10分くらい走っててん」

「イタソ〜〜。化粧水でもつけとけば？」

「角名りんって女子なん？よお知っとるね」





確かにずっとほっぺたヒリヒリしてた。

まあどうせあと何日か後には肌焼けるし諦めてるけど。




すると、じっと無言で私を見ていた侑の手が伸びてきて、

突然ほっぺたを引っ張る。






「！？ひょ、ひひゃいひぇんひぇよ、ひぃや(ちょ、痛いねんけど、宮)」


「ホンマや、角名の言っとった通り餅みたいや」

「はひゃひぇ〜(はなせ〜)」


「あん？何言っとるんかわからんわ〜」





完全にからかいモードの侑にそろそろキレそうになったとき、

侑の指が、日焼けした部分をかすめた。






「ひゃう、っ」





ピリッと。

短く、かつ強く走った痛みに肩が跳ねる。







カシャンッ




私の声を聞いた角名りんと治が、同時に箸を落とす。





その音で、少し静まり返った食堂。





その中で、侑ただ1人が、笑っていた。






「侑、それ以上はヤメテまじで」

「ええやん。痛そうやからなでただけやで」

「お前ほどほどにせぇよホンマ…」

「えーどないしよ」





またも日焼けした所に伸びてきた指。

いつまでもこいつのペースに乗せられてたまるか。





「ひゃひぇひょ!(やめろ!)」

「っだ！！」






こめかみに右ストレートをかます。

侑の手が離れた。







「ハンバーグ冷めるからやめろやホンマ」






机に突っ伏す侑を無視してひたすらご飯を食べた。


頬は少し、あつかった。

バカげたトークとその先。→←デジャヴかよ。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す