合宿所。 ページ19
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ムスリ。
そう効果音がつきそうなほどむくれてバスに揺られる私を、隣に座るさえちゃんがなだめる。
「知らんかったん?男バレと場所一緒って」
「知らんかったわ…いつ言われとったん?」
「忘れた。アンタバレー部と仲ええから知っとるんかと思うたわ」
「仲良くない…」
窓の外を眺める。
景色があっという間に通り過ぎてかわっていく。
「まあ別に練習場所違うからええやん。会うのご飯の時くらいやで?」
「それも嫌やねん…」
「(人1)ってホンマ贅沢やな〜。あの子なんか宮兄弟と泊まる場所一緒やって興奮しとったで」
「ええやん純粋で。私は侑の性格知ってんもん…」
ドリンクホルダーにさしていたお菓子を摘む。
さえちゃんは苦笑いしていた。
ちなみに女バレの合宿は別日らしい。まじで意味わかんない。
「去年は全然違う日やったんにな…」
「たまたまやろ。まあバレー部と吹奏楽部って最近セットみたいやしな」
「しなくてええのに」
「また贅沢言うてる」
合宿所まで後1時間。
私はあくびをして、ゆっくり目を閉じた。
.
.
「ついたで〜。バスから降りたら自分の荷物確認しいや〜」
顧問の言葉に目を覚ます。
んん。首が痛い。
ググッと背を伸ばしてからバスを降りる。
中心部から少し奥まった所にある合宿所は、空気が澄んでいるし、涼しい。
「荷物部屋に置いたら15分後にロビー集合な〜遅刻厳禁やで〜」
はーい、と返事をして部屋の鍵を受け取る。
楽器と荷物を持って足を踏み出した時、ざわりと後ろが騒がしくなる。
まさか、ね。
後輩がキラキラした目で私の後ろを見ているなんて、気のせい。きっと。
さっきから私の名前を呼ぶ憎たらしい声が聞こえるけど無視だ。
振り向いたらおわり。
「おい何無視しとるん(人1)チャン?」
「ぐぅっ」
甘かった。
長い足ですごい勢いで近づいて私の首に背後から腕を回す。いや死ぬ。
後輩よ、目ハートにしてるけど頼むから助けて。
それかバレー部…
「侑やめや。村原さん死ぬで」
「アッ北さん…」
「すまんな、大丈夫か?」
「ダイジョブです、」
北さんの声に侑が離れていく。
私はキッと侑を睨み、中指を立てた。
「バーーカ」
侑がその言葉にキレる前に咄嗟に逃げ出した。
後輩に後から根掘り葉掘り聞かれたのは言うまでもない。
*さえちゃんはフルートの2年生。
夢主と仲良いです
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ひぉん - とてもドキドキしました!もどかしくて、早く付き合っちゃえよ~!と思っていました!最後の後書きではるかさんの仰っていた「侑はモテるが故に恋に落ちる瞬間や気持ちが欠けている」の所、解釈の一致で全私がスタオベしました、!笑これからも楽しみにしています! (2020年8月18日 1時) (レス) id: 63fe28e87a (このIDを非表示/違反報告)
のんちゃん - めっっっっちゃ面白かったです!これで読むの2回めなんですが何回見ても面白くて宮侑はかっこよくてドキドキしてもうほんとに最高でした!私も中学の時吹奏楽部だったのでこういうの憧れます!体に気をつけてこれからも頑張ってください! (2020年3月16日 9時) (レス) id: 03b3e3161b (このIDを非表示/違反報告)
さむつむ(プロフ) - はるかさん» 治くん、ありがとうございます!!!!めっちゃ嬉しいです! (2020年3月6日 12時) (レス) id: 0a4236f730 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - りぃにゃんさん» コメントありがとうございます!!ツッキーとクロ、二人とも挑発上手なので書きがいありそうです笑 実は治の小説の次に書こうかなと思ってます、また楽しみにしていてください(^^) (2020年3月6日 0時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - みろるさん» コメントありがとうございます!最初の作品から読んでくださってるなんて…!とっても嬉しいです(^^)私もすなりん大好きなので頑張ります!また応援よろしくお願いします!! (2020年3月6日 0時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はるか | 作成日時:2020年2月27日 20時