唇をかすめる指。 ページ17
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「なあ、お願い…」
「嫌や、帰る」
「俺からもお願い…」
「嫌や」
帰る支度をする私の腕をつかむのは治。
そして、首をコテンと傾けてぶりっ子風にお願いするのは角名りん。
写真撮るぞコラ←
なんとか侑の宿題も終わり、時刻は14時前。
そう、
「もう腹減ってしゃーないねん」
「飯くらい自分で作れるやろ…」
「(人1)の手料理が食べたいなっ」
「角名りんそれキモいからやめて」
私の手料理が食べたいと、さっきからうるさいのだ。
私が断る理由は単に面倒なだけ。それだけ。
しかし、ここで煽るのがこの男である。
「作れへんのちゃう?」
「は?」
「そこまで頑なに拒否するっちゅーことは、料理できひんのやろ?」
どうせ得意料理はカップ麺とか卵かけご飯やろ?
挑発の笑みを崩さない侑に、
「あ?普通に作れるわアホ」
.
「乗っかってしまう私も単純やな…人のこと言えへんやん」
トホホ、と笑いながら卵をかき混ぜる。
ちょっと侑の手のひらで転がされてる気がして悔しい。
「ムカつくからアイツのだけご飯少なめにしたろ」
「聞き捨てならんなぁ?」
「あびゃ!!」
「うはぁおもろい声や!」
卵をかき混ぜる手が思わず止まって箸を落としかける。危ない。
クックッ、と笑う侑にグーパンをくらわせようとするも避けられる。
くそ。さすが運動部。
「結局オムライスかいな」
「だって治がオムライスじゃなきゃ嫌や言うたもん」
「俺ガパオライス食いたいねんけど」
「知るか自分で作れや」
ご飯にケチャップをかけて炒めていく。
隠し味にウスターソースを少し。
「美味そうやん」
「惚れたらアカンで?」
「安心しい。天地がひっくり返ってもあらへんわ」
「満面の笑みで言うなや」
いい香りがしてきたので味見をする。
うん、美味しい。私オムライス作る天才かもしれない←
「後は卵焼くだけやで」
「おん、知っとるけど、1つ言わせてもろてええ?」
「なん?」
「小学生みたいやで」
「ん、っ」
ここ、米ついとる。
スッと私の唇の横に伸びてきた、綺麗な、だけど少しかさついた侑の指。
指先についた米を、そのまま、
「…!」
「んー、一粒やと全然味わからんな」
ぺろりと舐めた。
私は驚きと羞恥で固まったまま。
「ん?顔真っ赤やで?」
かわええなぁホンマ。
侑は楽しそうに微笑んだ。
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ひぉん - とてもドキドキしました!もどかしくて、早く付き合っちゃえよ~!と思っていました!最後の後書きではるかさんの仰っていた「侑はモテるが故に恋に落ちる瞬間や気持ちが欠けている」の所、解釈の一致で全私がスタオベしました、!笑これからも楽しみにしています! (2020年8月18日 1時) (レス) id: 63fe28e87a (このIDを非表示/違反報告)
のんちゃん - めっっっっちゃ面白かったです!これで読むの2回めなんですが何回見ても面白くて宮侑はかっこよくてドキドキしてもうほんとに最高でした!私も中学の時吹奏楽部だったのでこういうの憧れます!体に気をつけてこれからも頑張ってください! (2020年3月16日 9時) (レス) id: 03b3e3161b (このIDを非表示/違反報告)
さむつむ(プロフ) - はるかさん» 治くん、ありがとうございます!!!!めっちゃ嬉しいです! (2020年3月6日 12時) (レス) id: 0a4236f730 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - りぃにゃんさん» コメントありがとうございます!!ツッキーとクロ、二人とも挑発上手なので書きがいありそうです笑 実は治の小説の次に書こうかなと思ってます、また楽しみにしていてください(^^) (2020年3月6日 0時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - みろるさん» コメントありがとうございます!最初の作品から読んでくださってるなんて…!とっても嬉しいです(^^)私もすなりん大好きなので頑張ります!また応援よろしくお願いします!! (2020年3月6日 0時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はるか | 作成日時:2020年2月27日 20時