ちょっとだけ、 ページ13
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「ぃだっ、」
「ぐぅ、」
ガツンと頭に衝撃がはしる。
ただ、それ以外はどこにも衝撃はこない。
ゆるりと目を開ければ、そこには。
「あ、つむ…?」
「…おん、大丈夫か」
「へい、き…」
「どこも打ってへん?」
「頭だけ、」
「ん、どこや」
私は侑に抱えられる形で事なきを得たらしい。
ここ打った、と言えばそこを撫でてくれる優しい侑がそこにはいた。
ふと口元を見れば少し腫れていた。
私の頭とぶつかったのは侑の口か…
「すみません、結構な勢いで当たっちゃって…」
私の横を通り過ぎた2人が足を止めて私に謝ってきた。
大丈夫ですと言おうとした。
「謝って済む問題とちゃうと思うねんけど」
「ちょ、宮!?」
「コイツ俺おらんだら顔から落ちてたで。足も捻挫しとったやろな。
そない軽い謝罪で済むもんちゃうで」
侑の顔を見てびっくりする。
メンチ切られた時よりもっともっと、こわい。
口を開くことさえ許されぬような、
冷淡さを秘めた、そんな感じのオーラを纏っている。
「(ホンマ色んな顔しよるな…
いや、そんな事言っとる場合やない。これは、まずい)」
チラリと治と角名りんを見ると、どうやら同じことを考えているようだった。
まずい、止めなくては。
「なあ、」
「いやあの、」
「侑」
「あ?」
ぎゅっと侑の服を握る。
大丈夫、大丈夫やから。
「私もうまく避けれんかったからお互い様です」
「おい(人1)」
「侑が助けてくれたから私今こうしておれるんや。
だったらそれでええ。ごちゃごちゃ言っても意味ないやろ」
「……分かった」
侑はまだ納得いかなそうな顔をしていたけど、
とりあえず喧嘩とかならなくてよかった。
頭を下げたら向こうも慌ててお辞儀して去って行った。
「納得いかん」
「私が納得いってるからええ。
…ありがとうな、まさかアンタやとは思わんかった」
「さすがに女見放すほど鬼畜やないからな。貸し1やで」
「ふふ、ええよ。実はちょお怖かってん。ホンマ助かった」
それと、後で口冷やしとき。
そう言って侑の上から立ち上がった。
そのあと、この場にはいなかった3年生達(北さんとか)が来て、
事態はなんとかおさまった。
「(ちょっとだけ、かっこよく見えた…なんてな)」
「治もありがとうな」
「おん。おにぎり食うか?たらこ」
「(治はブレへんな…)」
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ひぉん - とてもドキドキしました!もどかしくて、早く付き合っちゃえよ~!と思っていました!最後の後書きではるかさんの仰っていた「侑はモテるが故に恋に落ちる瞬間や気持ちが欠けている」の所、解釈の一致で全私がスタオベしました、!笑これからも楽しみにしています! (2020年8月18日 1時) (レス) id: 63fe28e87a (このIDを非表示/違反報告)
のんちゃん - めっっっっちゃ面白かったです!これで読むの2回めなんですが何回見ても面白くて宮侑はかっこよくてドキドキしてもうほんとに最高でした!私も中学の時吹奏楽部だったのでこういうの憧れます!体に気をつけてこれからも頑張ってください! (2020年3月16日 9時) (レス) id: 03b3e3161b (このIDを非表示/違反報告)
さむつむ(プロフ) - はるかさん» 治くん、ありがとうございます!!!!めっちゃ嬉しいです! (2020年3月6日 12時) (レス) id: 0a4236f730 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - りぃにゃんさん» コメントありがとうございます!!ツッキーとクロ、二人とも挑発上手なので書きがいありそうです笑 実は治の小説の次に書こうかなと思ってます、また楽しみにしていてください(^^) (2020年3月6日 0時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - みろるさん» コメントありがとうございます!最初の作品から読んでくださってるなんて…!とっても嬉しいです(^^)私もすなりん大好きなので頑張ります!また応援よろしくお願いします!! (2020年3月6日 0時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はるか | 作成日時:2020年2月27日 20時