. ページ22
「つまり、君は自分で考えた作戦を私たちにやらせておきながら、井伊を痛めつけたということか」
「相違ない」
伊達くんは黒田くんの返事を聞くと、徐に黒田くんを殴った。
「『黒田くん!』」
いやいや、相違しかないじゃん。
みんなは井伊くんが徳川派だってことは知らないけど、だからって、そこまでする必要ある?
「一発では足りんだろう。人を裏切れば、いつかバチが当たる」
伊達くんが倒れた黒田くんを引っ張り起こす。
『ちょっと伊達くん!』
と、教室内に突然太鼓の音が響き渡った。
音源が私の真横にあることはすぐにわかった。
『信長?』
どこから取り出したのか、信長がバチを握って太鼓を見つめている。
「やはり力任せに叩いたとて、良い音色は出んなあ。なあA?バチは加減が難しい」
信長はニヤリと笑ってバチを伊達くんの方に翳した。
それも駄洒落ととってよろしい?
「何が言いたい」
こちらに向かってきた伊達くんに、黒田くんは膝をついた。
「本当に申し訳なかった!…返す言葉もない」
「一体なぜ家康側に?」
「家康は、早々にPBB作戦を見抜いていた。俺は、自分の策を先回りされた。そんな男に、惹かれてしまったんだ。本当に悔いている!…だが今は、家康に対抗する策は、PBB作戦を置いて他にはない!作戦を、再開してはもらえぬだろうか?この通りだ」
黒田くんは伊達くんに向かって頭を下げた。
いわゆる土下座だ。
黒田くんがここまでする狙いがなんとなくわかった。
だけど、賛成する気にはなれない。
「ふぅ…いずれにせよ、君には外れてもらう」
「え、」
『なんで、』
「この先いつ裏切られても、おかしくないからな。君はもう、仲間ではない」
「そう思われても仕方がない。それだけのことをしたんだ」
「お待ちください!それはおかしいです。黒田くんは改心したと言ってるじゃないですか!」
『そんなの間違ってるよ…』
ドアの前から様子を伺っていたみやちゃんが、早足で向かってきた。
みやちゃんの腕を取って伊達くんに対峙した。
「また裏切らない保証はどこにある」
『私が責任取る』
「は?」
「もういいんだ日下部、蝶野。今最も重要なのは、PBB作戦を再開することだ。俺のことなど、」
「しかしそれでは!」
黒田くんは、自分の身を捨ててでも作戦を再開させようとしてくれているんだ。
613人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
美優(プロフ) - A?さん» コメントありがとうございます!前田くんと絡めるように頑張ります! (2022年8月26日 10時) (レス) id: c086026ca6 (このIDを非表示/違反報告)
A? - 凄く面白いです前田との絡みが欲しいです (2022年8月25日 15時) (レス) @page35 id: 463b37ca19 (このIDを非表示/違反報告)
涼杜兄妹(プロフ) - いつも楽しく拝読しております!秀吉ともっと絡ませてほしいです!!! (2022年8月25日 14時) (レス) @page35 id: a89c13a921 (このIDを非表示/違反報告)
美優(プロフ) - すずさん» ありがとうございます! (2022年8月23日 19時) (レス) id: c086026ca6 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - 応援してます!! (2022年8月19日 18時) (レス) @page13 id: c8c40d0f19 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆう | 作成日時:2022年8月10日 0時