紫苑の過去 ページ46
飛び出してからはのらりくらりとそこら辺をさ迷って生きた。その間にも沢山の魔法を使えるようになった。
もう故郷の帰り方すら忘れた俺は、完全に一人ぼっちだった。誰かと話をすることもなかった。
ある日から俺は、道を通りかかった奴に魔法でいたずらを仕掛けることが楽しくなった。狐につままれたような顔をした間抜けな面を見るのが堪らなく楽しかったし、憂さ晴らしになった。
ある日は、延々と同じ道を歩かせてみたり、大きな獣を出して驚かせてみたり、女に化けて近寄って好きを見て弁当を取って逃げたり、色んな魔法で色んなことをしてた。
魔法を使えるのは俺だけ、見破られることもなくただただ引っかかっていく奴を見て馬鹿にしてた。
けど、ある日転機が訪れた。
いつものように木の影から道行く人を待っていると、一人の女が歩いてきた。
黒くて長い髪に、強気なぱっちりとした目。そう、Aだった。
俺は、見えない落とし穴で落としてやろうと待ち構えてた。
けど、Aはそれに気づいて落とし穴を避けて通ったんだ。
だから、次はでっかい虎を出して驚かそうとしたけど、あいつは呪文を唱えて直ぐに虎を砂へと変えちまった。
びっくりしたなぁ、あの時は。俺と同じやつがいるのかって…それと同時に悪戯が失敗したから苛苛した。あいつの驚く顔を見るために、俺はあいつに近づいた。
「へぇ〜なかなかやるじゃん、俺紫苑っていうの。お前、名前は？」
「A…です。初めまして。」
俺は、毎日のように旅をするAに悪戯を仕掛けた。何度やっても失敗して、怒られた。
「もう！紫苑！私のイチジクに腹下しの術を唱えたでしょ！絶対食べないからね！これ！」
「あー、またこんな所に落とし穴が…。もう！」
誰かとこんなに一緒に居ることはなかった。毎日が楽しかった。
気付いたら好きになってた…。どうしようもなく好きに…。こいつを守るのは俺の役目で、他の奴には渡したくないってぐらいに…。
でも、Aには好きな奴がいた…
とそこまで説明すると、紫苑はしまった！と言うような顔をした。
しかし、時すでに遅し
「Aちゃん、好きな人いるの！？」
「誰だよ！そいつ、知ってんのかよ！？」
「ち、ちげーよ。今のは間違いで…」
焦る紫苑をよそに騒がしくなる2人。
しばらくの間、彼らの騒ぎ声が広間に響いていた。
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レモン(プロフ) - はじめまして、ハクも格好いいけど紫苑の方が可哀相に思えて、紫苑が好きになってきました。これからも応援してます！ (2019年1月20日 22時) (
レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
しろ - ほほぅ…誤って評価を…ならあなたのかわりに私がいれないでおきます((ﾆｺｯ あ！ごめんなさい。誤作動でおしちゃいました★ (2018年12月15日 21時) (レス) id: 7e3c093cf9 (このIDを非表示/違反報告)
名無し43692号(プロフ) - 作者様から返事が、、！ありがとうございます(^O^) 紫苑君の活躍期待してます！笑 ずっと応援してます(^-^)/ (2016年3月26日 19時) (レス) id: 9d06ba8ba1 (このIDを非表示/違反報告)
もなか@中身はこしあん(プロフ) - 季紀さん» 季紀さん！？君の手シリーズ読んでました！(｀・д・´)売ってる本みたいだなんて…そんなそんな…！ありがとうございます！これからも頑張らせていただきます！ (2016年3月26日 18時) (レス) id: 143efacaa5 (このIDを非表示/違反報告)
もなか@中身はこしあん(プロフ) - 名無し43692号さん» ありがとうございます！紫苑君、これから結構活躍するはずです！見届けてあげて下さい！よろしくお願いします！(´▽`)ノ (2016年3月26日 18時) (レス) id: 143efacaa5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もなか | 作成日時：2015年11月19日 1時
