【文スト】彼らと私の恋愛観

大きな犬拾いました (１) ページ6

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［ 太宰治 ］

・大きな犬拾いました スピンオフ



「―――お疲れ様」



毎度お馴染み会社の前、終業後の私に、太宰君が手を振り乍駆けてきた

勿論、群がる女性社員を一蹴して、だ



『太宰君、あのさ』

「如何したの？お疲れ様のハグ？いいよ、はい」

『………』


笑顔で腕を広げて待つ彼

太宰君のずれた思考回路、卓越されたポジティブシンキングは相変わらずである


って、そうじゃなくて


『散歩にはちゃんと行くから、もう迎えに来なくていいよ、家でゆっくりしてなよ』


そう、私が云いたいのは之である


未だに時間が合う時はこうして社迄迎えに来てくれる彼なのだが

それが最近、私の部署で噂になってて


こないだなんて同僚に「彼氏若いね」なんて云われた


私の社会的立場が危ういのだ

未成年と同棲してます、彼氏です、なんて云った日にはきっと社員全員から痛い目で見られるだろう


それだけはなんとしても避けたい


が…―――



「来ちゃ駄目なの？」


その質問は反則である

私が無下に駄目だと云えないのを判ってて訊いてくるんだ、本当に計算高い男である



『駄目っていうか、疲れるでしょ？態々ここ迄』

「別に疲れないよ、Aに早く会えるもの」


そういう歯の浮くような事をさらりと云ってしまうのも、この男の侮れない部分である


事も無げに云って、自然に私の右手を攫って歩き出す太宰君

本当に敵わない


矢っ張り、折れるのはいつも私の方だ



『――今日は夜ご飯何食べたい？』

「うーん、そろそろAかな」

『オムライスとか佳いんじゃない？』

「あれれ、無視かい？」

『付け合わせはカニ缶だね』

「賛成、早く帰ろう、お腹ペコペコだよ」



こういう所は単純なんだけどな……


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