【文スト】彼らと私の恋愛観

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「――いつ迄そこに居る、早く仕事に戻れ」

『わっ、ご、ごめんなさい』



部屋の中から顔を覗かせた彼が、眉間に皺を寄せて見下ろした

慌てて立ち上がって去ろうとすると、「待て」と短く呼び止められる


『何でしょう！』

「其れが終わったら今日は帰れ」



彼に、呼び止められる度に、何かを期待している自分が居る


別に具体的な何かを求めてるわけじゃないけど

只、彼が私の顔を見て話すだけでも嬉しいんだけど


でも、一寸だけ欲を云えば、業務的な事じゃなくて、少しでも私に干渉してくれたらいいな、なんて


――こんな我が儘、多分貴方は一番疎ましいよね



『……判りました！』


精一杯いつもの笑顔をつくって答える



と、何故か、白くて細い彼の手が、私の頬に触れた


突然の其の行動で、カッチコチに固まった私に


「隈が目立つな」

『………へ？』

「頬も熱い」

『あ、あの』

「昨晩徹夜で書類を仕上げたか、愚者め、近頃は夜冷えする事を知らぬのか」



初めてだ、私の体調、否、私に関する事で、彼が何かを云うのは

多分、云い方から察するに怒ってるんだと思うけど


『へへ、ごめんなさい、気を付けるね』


如何しても綻ぶ顔を隠す事が出来ない

そんな私の顔を、又眉間に皺を寄せて数秒見た彼は、更に驚きの一言を発した



「終わったら下で待っていろ」

『へ？』

「僕(やつがれ)も帰る」



大変だ、明日は雪が降るかもしれない


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