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「若しかしなくても怒ってンだよ、何してた」
『ポ、ポーカーを少々……』
「立原と？」
『立原と』
「二人で？」
『二人で』
「密室でか？」
『み、密室？まあ、密室か、はい』
最後の質問だけ若干論点がずれている気がしなくもないが、今口答えしては完全に彼の沸点が限界突破するので黙っておく事にする
仕事熱心な彼からすれば、サボる、という行為は到底許し難い所業であろう
恋人だからと甘やかすタイプでもない
詰まる所…―――
『一週間……』
「あ？」
『一週間、中原幹部の執務室の掃除を頑張るので始末書だけはご勘弁を！』
これが妥当な謝罪文の筈
どうか、どうかお許しを、と、そろそろ苦しくなってきた首を我慢し乍顔の前で両手を合わせた
「執務室の掃除か、悪くねぇな」
ほら、そう云うと思った
伊達な恋人歴を過ごしていない、怒った中也のご機嫌をとるのは最早朝飯前である
「……おい、口に出てんぞ」
『え』
「へぇ」
『いや、その…』
「ンな得意ならやってみろよ、俺のご機嫌とり」
先刻迄眉間にたっぷり皺を寄せていたっていうのに、転じて今は大変愉しそうである
やってしまった、莫迦私
「おら」
『ぐえっ、ぐ、ぐるじぃ…』
ぎゅうと首に回る腕に力を入れられて、一層苦しくなる
拙いぞ、考えろ私
―――あ…
『きょ、今日！中也の家に行くよ！』
「あァ？なんでまた俺の家に…」
と、云ったっきりフリーズした彼
おそらくいつもより赤いであろう、そんな私の顔を見て其の意味を悟ったのだろう
そしてがっしりと私の首をホールドし乍、反対側の手で顔を覆った
『……あのう、中也さん…？』
そろりと見上げて呼び掛けると、「五月蝿え」と
ピュアなのだ、中原中也という男は
其れを踏まえて考えると自ずと見えてくるのは
『照れてます…？』
「照れてねぇよバーカ！」
『わっ』
漸く首を離してくれたかと思うと、わしわしと髪を乱された
判り易い照れ隠しである
『中也さ、若しかして仕事サボってた事より私が立原と二人で遊んでた事に怒ってない？』
「ち、違ぇよンなわけ無ぇだろ莫迦か！」
『うわあ、図星だ』
取り敢えず自分に不利な時莫迦っていう癖治した方がいいと思うが、可愛いので敢えて黙っておく事にする
「手前夜覚悟しとけよ」
『お手柔らかにお頼申します』
何はともあれ私による彼のご機嫌とりは、今晩の延長戦にもつれ込むって事で一旦幕を閉じた
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白菊 - 文体もストーリーもオチのつけ方も本当に素晴らしい！読んでいてきゅんとしたり、吹き出してしまうような温かみのあるお話ばかりで大好きです。キャラクターの性格もよく理解されていて、楽しく読ませていただきました。次回作楽しみにしています！！ (2018年5月28日 19時) (
レス) id: 86eebfe98b (このIDを非表示/違反報告)
クコ(プロフ) - どの話も一つ一つの言葉選びがとてもツボでした！ステキな作品に出会えてよかったです！リクエストなのですがお餅さんの書かれる谷崎君が読みたいです！シチュエーションは出来れば谷崎君からの告白が良いです。 (2018年5月28日 5時) (レス) id: c68ef9c665 (このIDを非表示/違反報告)
黒木燈(プロフ) - めっちゃ好き…。文の書き方っていうかなんて言うか…取り敢えず続編作って下さい…！！後小型犬拾いました。の奴凄く気になる…！連載とかしないですかね？ (2018年5月28日 0時) (レス) id: b7d60aca1c (このIDを非表示/違反報告)
白薔薇 - 大きな犬拾いましたの夢主が出張でいない時の太宰さん目線欲しいです (2018年5月27日 21時) (レス) id: 77783d49a8 (このIDを非表示/違反報告)
彩(プロフ) - どのお話も素晴らしいです！できれば、続編も見てみたいです！ (2018年5月27日 19時) (レス) id: 044bba1da0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お餅
| 作成日時：2018年5月18日 23時
