【文スト】彼らと私の恋愛観

＊ ページ17

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『――こ、紅茶、早く淹れてよ』

「ええ、淹れますよ」


と、云い乍掴んだ私の手を引く彼に、簡単に捕まって腕の中におさめられてしまう


もう駄目、心臓爆発しそう



『は、離して下さい』

「お断りします」


さらさらと髪を撫でられて、忙しなく拍動していた心臓が徐々に落ち着いてくる

そして次に襲ってくるのは眠気


『散々放ったらかしだった癖に、なんなんだよもう』


眠い時に口を衝いて出るのは正直な本音で

久方ぶりに触れた恋人にここ迄甘やかされては、私だって反応に困るし、なんか悔しい


が…―――



「放ったらかしにしたのは態とです」

『………厭がらせだ…』

「ええ、焦らした方が佳いでしょう」



愉しそうに云う彼に、負けを確信した


『ドス君って私の事凄く好きだよね』


そんな私のなけなしの厭味にも



「判りきった事です、確認する迄もありません」


と、涼しく返されてしまう

少し距離を空けて私を見下ろした彼は、ふっと微笑んで又唇を落としてくる



『あ、あの、こ、紅茶……お湯冷めちゃうよ』

「又淹れるので少し黙っていて下さい」



彼による、少々強引な甘やかしは、結局私が疲れて眠る迄続いて、美味しい紅茶はお預けになった


偶にこうして甘やかされるのも悪くはないが

糖度高めなドス君に余り免疫の無い私の心臓には毒なので、一年に一回あればそれでいい


と、翌日伝えると、「では年に一回遠征します」と


如何やら彼は、焦らして甘やかすという手法がお気に召したらしい


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