【文スト】彼らと私の恋愛観

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翌日、先ず驚いたのは割と早い段階、朝一番である


「―――よォ」

『な、中原さん！？』


一人暮らしのアパートの前、閑静なそこに似つかわしくない高級車に、凭れ掛かる昨日ぶりの中原さんが事も無げに声を掛けてきた


『如何してここに…』

「太宰が調べてンの盗み見た」

『マフィア怖！』


しがない民間人の住所迄特定出来てしまうのか

恐怖を通り越して感心である


『なんですか？こんな朝早くからお惣菜ですか？』

「あァ、店迄送ってやるから出来立て出せ」


なんと横暴な……


――でもまあ…


『そんなにうちのお惣菜を気に入って下さってるんですね、嬉しい限りです』

「………手前其れ本気で云ってンのか？」

『私はいつでも本気です』

「ハァ……まあいい、乗れよ」


朝一番の溜め息は大変癪だが、助手席のドアを開けてエスコートしてくれる姿が割と紳士的なので大人しく乗る事にする

こんな高級車乗るの初めてだ、結構ワクワクする



「シートベルト」

『へ？わっ、わわっ』



一人浮かれる私に、若干呆れた顔を向けて云った中原さんは、次に疑問符を浮かべた私にずいっと近付いて

カチリと、シートベルトを締めてくれた


直ぐに体勢を戻すかと思ったが、その侭ちらりと私を見上げた彼は



「浮かれ過ぎ」


と、口角を上げた


慣れない異性との至近距離に、どっと心臓が大きく揺れる


『の、乗り慣れてないんです、車なんて』


其の距離に耐えられなくて、ぐいっと彼を押し戻して、辛うじて悪態を吐いた


ふっと笑った中原さんは、「そうかよ」と、慣れた手つきでエンジンを掛ける



店に着く頃には、私の心臓は落ち着いていた


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