【文スト】彼らと私の恋愛観

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『如何かしましたか？』


カウンター越し、怪訝に見上げて尋ねる私に、固まっていた太宰さんがずいっと乗り出して急接近

一歩、後退った



「Aちゃん、よく莫迦だねって云われない？」

『急になんですか、殴りますよ』

「待って待って冗談」


後退った一歩をもう一度詰めてグーを構える私を、両手を前に出して制した太宰さん

が、後ろの中原さんに首根っこを掴まれて元の位置に引っ込んだ



「手前真逆、この三ヶ月俺が毎回惣菜を購う為にここに来てると思ってンのか？」

「一寸、私も入れてよ」

「五月蝿ぇ黙っとけ」



一言一言互いに突っ掛かり突っ掛かられしないと話せないのだろうか彼らは



『――違うんですか？』

「違ぇよ莫迦か！」

『さっきからなんなんですか莫迦莫迦って！』


全く失礼なマフィアである


ふんっと怒りの鼻息を吹いて、どさっと包んだ惣菜を二袋カウンターに置くと

聞こえたのは二人分の溜め息


勿論、閉店間際の店内には、今しがた私を莫迦だと云った二人しか居ない


如何して彼らが溜め息を吐くんだ



「回りくどいやり方じゃ判らねぇらしいな」

「割とストレートだったと思うのだけど」

『何がですか』

「明日から覚悟しとけよ」

『だから何が＿＿＿ 』

「私達の勝敗の為にも頼むよ、Aちゃん」

『何の？』

「じゃァな」

『いやだから何の話なんですか！！』


やけくそで叫んだ私の怒号は虚しく店内に響いて、呆れ混じりの溜め息を残して店を後にした彼らの背中に届く事はなかった


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