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「――ところでA」

『なんですか』


優雅に飲んでいた珈琲をテーブルに置いて、徐ろに立ち上がった太宰さん



「ずっと云おうと思っていたのだけど」


と、私の目の前に立って、腰を折って目線を合わせた


唐突にパーソナルスーペースに侵入されて、にじりと、一歩後退る



「君、結構鈍感じゃない?」

『……はい?』



清々しい朝に何を云い出すんだこの人は

全くもって脈絡が見えなくて、怪訝な顔で見上げると



『いたっ』


デコピンが飛んできた、普通に痛い



「そういう所だよ」

『な、何がですか』

「如何して私が飽きもせずに君の部屋に不法侵入しているか、一寸は考えた事あるの?」


―――不法侵入してる自覚はあるんだ…


じゃなくて


『…暇潰し、ですか?』

「うん、判った、もう待てないから単刀直入に云うよ、単純に、好きなのだよ、君が」

『へ?…す、す?…………す!?』



大変だ、太宰さんが好きって云った、私の事、好きって云った

如何しよう、悪戯が変化球過ぎて打ち返せない



「ああ、因みに、悪戯じゃないよ、私の本心だ」


正に心を読んだように付け足した太宰さん


―――本心……?



「私の冴え渡る勘では、君も私と同じだと思うのだけど、違う?」


くいっと口角を上げて、私の顔を覗き込んできた太宰さん

其の視線とぶつかると、途端に顔が熱くなった



「ふふ、判り易」


微笑して、真っ赤であろう顔を隠すように俯いた私の顎を掴んだ彼は、爽やかな笑顔で額に唇を落とした



私の部屋にも、パーソナルスペースにも、心の中に迄も簡単に不法侵入してくる太宰さん


いつの間にか私も、彼の心に不法侵入していたようです




「Aって本当に判り易いから浮気しても直ぐにばれるからね?しない方が賢明だよ?」

『なんで浮気する前提なんですか!しませんよ!』


.

ご機嫌とり→←不法侵入



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白菊 - 文体もストーリーもオチのつけ方も本当に素晴らしい!読んでいてきゅんとしたり、吹き出してしまうような温かみのあるお話ばかりで大好きです。キャラクターの性格もよく理解されていて、楽しく読ませていただきました。次回作楽しみにしています!! (2018年5月28日 19時) (レス) id: 86eebfe98b (このIDを非表示/違反報告)
クコ(プロフ) - どの話も一つ一つの言葉選びがとてもツボでした!ステキな作品に出会えてよかったです!リクエストなのですがお餅さんの書かれる谷崎君が読みたいです!シチュエーションは出来れば谷崎君からの告白が良いです。 (2018年5月28日 5時) (レス) id: c68ef9c665 (このIDを非表示/違反報告)
黒木燈(プロフ) - めっちゃ好き…。文の書き方っていうかなんて言うか…取り敢えず続編作って下さい…!!後小型犬拾いました。の奴凄く気になる…!連載とかしないですかね? (2018年5月28日 0時) (レス) id: b7d60aca1c (このIDを非表示/違反報告)
白薔薇 - 大きな犬拾いましたの夢主が出張でいない時の太宰さん目線欲しいです (2018年5月27日 21時) (レス) id: 77783d49a8 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - どのお話も素晴らしいです!できれば、続編も見てみたいです! (2018年5月27日 19時) (レス) id: 044bba1da0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:お餅 | 作成日時:2018年5月18日 23時

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