防衛本能に溶かす*雨宮太陽 ページ17
「いい加減にしてよ」
上履きを下駄箱に突っ込みながら冷たく言う。その声は自分が思っていたより冷たかった。
「嫉妬くらいするのは分かるよ、分かるけど私の方も考えて欲しい」
彼氏、という言い方はあんまり気に入ってはいないけど一般的にそういう名前で呼ばれている私の彼氏、太陽に言い放つ。
太陽は今にも泣きそうな、例えるなら犬のような表情をしていた。
嫉妬した、と下を向きながら言われたのは一か月前、Aは無防備過ぎる、と言われたのは２週間前、僕だけ見てよ、と言われたのは一週間前、男子と手が触れただけで強引に手を引かれたのが今日。部活はサボるようだ。
私よりもっと可愛くてＭっ気があるのなら喜んで受け入れるだろう。
しかし私はそういう人間ではないのだ。
できるだけ人の生活には干渉しないようにしているし(したくもない)彼もそんな私のことを分かっていたはずだ。
告白された時だって、私は一度忠告した。
「私はあなたを一番に考えられないかもしれない」
彼は寂しそうな顔をしてから頷いた。
一か月前、私は彼に言われてできるだけ話さないようにした。
それなのにこの仕打ちは一体どういうことだろう。
アドレス帳の男子だって彼の目の前で消した。告白された時なんかは彼が人目も気にせず口づけた。
私の気持ちはお構いなしか。
「太陽」
下を向いたままの彼に一歩近づく。
瞬間、視界が急に変わった。
壁に押し付けられていると瞬時に理解した私は手を自分の体の後ろに隠した。ここで手を取られれば何をされても叶わない。
「Aは僕のことを好きじゃないの?」
睨むような視線。
「好きだよ」
恋愛的な好きかどうかは曖昧だが。
私は恋をしたことなんてない。察して欲しい。
「…そう」
太陽は徐ろに顔を近づけてきてーーー、
「…ッ!?」
私の首筋に舌を這わせた。
私の中でサイレンが鳴り響く。カッと身体が熱くなって、防衛本能が働いた。
私の意志を無視して。
痛々しい音が鳴り響き、彼は反動で横を向く。
すぐさま距離をとり、走れるようにと靴を履く。
叩いてしまったのは悪いと思っている、でもあんな行為をされてこれから何をされるのかなんて簡単に想像できた。
「何をするの」
「そっちこそ」
私は深く息を吐いた。
「距離を置こう」
太陽が目を見開いた。
「…え」
「今の太陽とは一緒にいたくない」
少なくとも私が好意を持っていた彼は、
「じゃあね、雨宮くん」
ひだまりのようだった。
続く
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かなも(プロフ) - 亞羅蛇*ﾟさん» そんなこと初めて言われました( ；∀；)性悪ですか！あれは私が嫌われを書いてみた結果です←最近よくある財閥設定がないのが特徴ですね！ありがとうございます！純愛だけだとつまらないですよね、ありがとうございます(*´ー｀*) (2013年4月4日 23時) (
レス) id: 7c1e858908 (このIDを非表示/違反報告)
亞羅蛇*ﾟ(プロフ) - やったー*ﾉ´Д`)ﾉwktk
そして１の方の性悪を読み返して涙腺崩壊してます(;ω;)
いやぁ純愛も良いけど悲哀系も良いです(泣)かなも様神！！ (2013年4月4日 23時) (携帯から) (レス) id: 8b6e35f1ff (このIDを非表示/違反報告)
かなも(プロフ) - 光輝さん» ちょっと見た瞬間吹きましたw酷いですよね、食い逃げならぬ見逃げですよ(( そういってもらえるととても嬉しいです、ありがとうございます(*´ー｀*) (2013年4月4日 23時) (レス) id: 7c1e858908 (このIDを非表示/違反報告)
かなも(プロフ) - 亞羅蛇*ﾟさん» はい！間に合いますよ、5日の日付が変わるまでなので！参加ありがとうございます、トリップですね！確かにトリップは見てて楽しいですよね(*´ー｀*)ありがとうございます!! (2013年4月4日 23時) (レス) id: 7c1e858908 (このIDを非表示/違反報告)
亞羅蛇*ﾟ(プロフ) - はじめまして！アンケートまだ間に合いますか´･ω･)？
２番も捨てがたいですがやっぱり４番ですかね*´ω`)ﾄﾘｯﾌﾟ系大好物なので← (2013年4月4日 23時) (携帯から) (レス) id: 8b6e35f1ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かなも | 作成日時：2013年3月29日 17時
