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「靖友くんっ、ここだよっ」
卒業式から数日後、静岡に行くための準備をちまちま始めてた俺だったけど、キャリーケースが壊れてたことに気付いた。
っつー事で、今はAと一緒にショッピングモールに来てる。
Aはキャリーケース売り場を見つけて、笑顔ではしゃいでる。
「これに私が入って一緒に着いていきたいなぁ」
「無理に決まってるだろ」
少し大きめのキャリーケースを選んで会計へ。
Aはというと、久しぶりに来るショッピングモールだから、まだ目新しそうに周りをキョロキョロしてる。
「どっか見てまわるゥ？」
「うんっ」
「その前に飯だな」
「私、あれ食べたいな。」
そう言ったAに連れて行かれた場所は、フードコート。
そこにあるファーストフード店を指さすA。
「ハンバーガーで良いのか？」
「うんっ。初めてのデートで靖友くんと来た所だからっ」
…そーいやそっか。
ここ、まだAが入院してた頃、一時退院した時に来たショッピングモールだ。
注文を終えて商品を受け取り、席につく。
「ん、おいしいっ。」
あん時みたいに小さな口でハンバーガーを頬張るA。
…小動物みてぇ。
思わず俺まで表情が緩む。
「私、ここのハンバーガー屋さんでアルバイトしようかなぁ」
「ぷっ。似合わねぇー」
「え〜、ひっどいなぁ」
ハンバーガー作ったり接客してるAの姿…想像できねぇ。
「ま、そん時ゃ応援するネ」
「やったぁ、ありがとうっ」
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作者名：蓮菜 | 作成日時：2021年4月10日 0時
