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「靖友くん…やっぱりモテるじゃん。」
「モテねーヨ。俺だって声かけられてビックリだっての。」
「………私の靖友くんだもん。」
Aはそう言うと、ほっぺを少し膨らませた。
「………くすっ」
「な、なんで笑うの！？」
思わず吹き出してしまった。
「いや、ヤキモチ妬いてんなァと思って。」
「え、あっ、…ごめん。子供みたいに拗ねちゃって…」
「別に謝る事ねーじゃん。」
これまではA、自分の不安や不満とかそういう感情は俺に見せるの正直少し遠慮してた面もあったのに…
今はこうして全部見せてくれるのが嬉しい。
俺は着ていたブレザーをAの肩にかけた。
「それやるヨ。」
「へっ…！？いいの…！？」
「邪魔なら捨ててもいーし。」
「邪魔なわけないよ…！すっごく嬉しい…！」
今度は無邪気な子供みてぇにブレザーに袖を通してニコニコしてる。
「えへへっ、ボタンより良いもの貰えちゃったっ」
「そりゃあ良かった」
ぶかぶかの袖を顔に添えて『靖友くんのにおい』って嬉しそうにしてるAに、『恥ずかしいからやめろ』ってデコピンする。
「……ねぇ、靖友くん。」
「んー？」
「この前ファミレス出た時に、靖友くん自分の事『独占欲強い』って言ったでしょ？」
「ンな事言ったっけェ」
「くすっ。言ったよ？」
覚えてるけど知らないふりしてるのを見透かすようにクスクス笑うA。
「あのね、」
「何ィ？」
「靖友くんに負けないくらい、私も独占欲強いみたい。」
そう言って、いたずらっぽく笑うAに思わずドキッとしちまった。
………おめーにそんな風に思われるの、悪くねぇな。
「おめー、俺に似てきたネ。」
「ふふっ。……あっ、靖友くん！」
「次はナァニ」
「卒業、おめでとう。」
いたずらっ子みたいな笑顔はどこへやら。
今度は大人っぽく綺麗に微笑んだ。
そんな姿に飽きずにまた高鳴る俺の心臓。
「ン。あんがとネ。」
少し照れちまったから目線を逸らしてそう伝えた。
なんだかんだで、良い卒業式になったなーー…。
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作者名：蓮菜 | 作成日時：2021年4月10日 0時
