転生完了 ページ4
ゆっくりと目を開ける。
そこには、よく知った青空と雲。
地面に大の字で寝ているからか草の匂いがする。
さっきまでの事は全て夢で、起きたら誕生日当日が待っているのでは。
彼と楽しい時間を過ごせるのでは。
もしくはドッキリとか。
そんな風に心の片隅で思っていた望みは、本当にただの望みだったらしい。
一夜にして彼も友達も親も人生も命も。
私の全てを無くしてしまった。
しかも20歳の誕生日に。
一人になったからか。
色んな事が立て続けにあり、ついていけてなかった心が追いついたからか。
視界が歪んでいく。
勝手に涙が溢れ出てくる。
止まらない。
いや、止めなくても良いのか。
ここでは漏れ出る声も気にしないで良い。
どうせこの世界には、私を知ってる人なんて誰一人もいないんだから。
声を出して泣くなんていつぶりだろう。
誰にも邪魔されずひとしきり泣けば、脳内は随分スッキリしていた。
泣いてても仕方ない
切り替えろ
生きていかないと
この世界で
冷静になると気になるのが、涙を流すとたまに鳴るコツンという音。
ゆっくりと身体を起こせば、顔があったであろう場所に黒い球体がいくつか転がっていた。
そのうちの1つを手にとってみる。
『……宝石、かな？』
それは真っ黒で美しく光を反射させる。
形は真ん丸で大きさは1cm程度。
その手の物に詳しくはない私でも、売ればそこそこの値段が付くのではと感じる。
目尻に残っていた涙がポロリと落ちれば、それは地面に届く前に黒い球体へと姿を変えた。
『…えっ！？』
驚く私をよそに、その黒い球体は地面を軽くはねて転がる。
『……まさかこれが能力？』
涙を宝石に変える能力、とか？
もう1度涙を流したいが、驚きで涙は引っ込んでしまった。
もしも、だ。
この考えが正解だとすれば。
生きていくのに絶対に必要な金銭面は何とかなるかもしれない。
良いように考えれば、世の中お金さえあれば食うに困らない訳で、素晴らしすぎる能力なのでは。
落ちていた黒い球体は全部で6個あり、拾い上げてポケットへ入れながら考える。
この能力はありがたいけど危険だ。
誰かに知られれば、幽閉されて涙を流す為だけの道具に使われる可能性がある。
昔そんな童話を読んだような…
とにかく、あの空間で言われたようにレアな能力なんだから、不必要に口外しないようにしないと。
すっかり乾いた目元を1度ぬぐって立ち上がる。
さて、ここからどうしたものか。
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ゆかり(プロフ) - わぁーー、めっちゃ嬉しい！ありがとーございます！書きたい話はまだまだあるので、頑張りますね。 (2021年11月3日 20時) (
レス) id: 22f5afe48d (このIDを非表示/違反報告)
すいみん。(プロフ) - とても面白いです！どストライクにハマる世界観、書き方、夢主の性格...など！めちゃくちゃ好きです。次の更新楽しみにしています。無理せず頑張ってください！ (2021年11月2日 23時) (レス) @page31 id: 89ac922806 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり(プロフ) - 御三方、コメントありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいです！頑張る励みになりますね。そして銀狐様、ご指摘ありがとうございました。コソッと直してみました！ (2021年10月25日 12時) (レス) id: 22f5afe48d (このIDを非表示/違反報告)
銀狐(プロフ) - この作品好きです！これからも御体に気を付けながら頑張ってください！あと大食漢ではないでしょうか？ (2021年10月25日 10時) (レス) @page18 id: b88b2ea9fb (このIDを非表示/違反報告)
シー - え、めちゃくちゃ好きです！！応援してます！！ (2021年10月21日 3時) (レス) id: 7d376a875d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆかり | 作成日時：2021年10月15日 6時
