【文スト】いつか観た夕焼け【太宰治】

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「お久しぶりですね、太宰さん」

「嗚呼、君か」

「其の傷、芥川君に何て云ったんです？まあ、大抵予想はつきますが。」

「こんな話をする為に来た訳じゃ無いだろう？」

「……今の私は貴方を殺せる。あの頃の弱い私じゃない。だから……

殺しに来た」



ずっとずっと弱かった私。

ずっとずっと貴方"達"に守られて来た私。


其んな私はもう居ない。

喪うモノ何て、何もない。
全て消え去った。


＿＿それで善い。



「異能力【海神丸】」



異能力が効かないのは知ってる。

けれど、周りの状態異常は効く。


湿度を粗無くし、残らせた湿気の温度を上げると砂漠に近い状態が生まれる。

ずっと其んな処に居たら、脱水症状でも起こしてしまうだろう。



「……今の私なら、貴方を殺せる」

「Aちゃん、此処に居たら君まで死んでしまうよ？」

「……足が、動かないんですよ」



カチャリ……

金属製の音がした。

次に来たのは、温もりと、抱き締められてる感触だった。



「離して、ください……」

「生憎、泣いている元部下を放って置く程、私の心は狭くないようだ」

「……太宰さん何て、嫌いです」

「知ってるよ」

「殺したい位嫌いです」

「知ってるよ」



トン…、と抱き締めて太宰さんを押し返す。

そしてずっと伏せてた顔をあげて



「貴方は私が殺す」



そう云ったんだ。

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