【ノラガミ】二つの名を持つ神器

24.術 ページ28

それから雪音君に夜ト様が二週間ほど前からいなくなったという話を聞き、私はいろんな意味で驚いていた。



二週間もここに顔を出していないということは...






『...絶対に父様の仕業よね』


「ん？何か言った？」


『い、いえ、特に何も』


「そうか。お前のほうが俺より夜トと長い付き合いみたいだし、何か思い当たることがあったら言ってくれよな！」


『はい、分かりました』






雪音君はよほど夜ト様のことが心配なのか、人差し指をこちらに向け身を乗り出しながら力強く言った。



しかし、その表情が無理に強がっている気がして、私は罪悪感に襲われた。






「あ、そうそう！最近、兆麻さんに術を教えてもらってるんだ！よかったら、紅音も一緒にどう？」


『術というのは縛布とかですよね？私、一般的な術なら使えますよ』






と私が言うと、雪音君は頭を抱えて「マジか...」とうなだれてしまった。



兆麻さんにってことは、高天原で修行してるってことよね。






『雪音君と兆麻さんがよければ、私も一緒に教えますよ。夜ト様は当分の間、帰ってこないでしょうし』


「ホントか！？ありがとな、紅音！」






「よしっ」と小さくガッツポーズをしている雪音君を横目に微笑ましく思いながら、高天原に行く準備を進めた。

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