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「一緒に帰ろ。」

「あっ。ごめんね、用事があるんだ。」

帰りの支度をしているとき。素早く準備を終えた翼がに声をかけられた。

今日は珍しく、秀明がない。掃除が終わったら、家に帰るだけなんだけど、私には、予定があった。

『彩、今日はお兄さんの家に泊まりなさい。荷物は、運んでおくから。今日秀明なかったわよね?学校が終わったら、直接向かってちょうだい。』

朝、ママの口から出た、衝撃の言葉。ママがそんなこと言うなんて……。

私はびっくりして、思わずフリーズ。だって、ママは、おじさんのことが嫌いなんだもの。

ママのお兄さん、つまり、私のおじさんは、小説家なんだ。最初はそこまでじゃなかったんだけど、どんどん人気が出てきて、今では超・売れっ子作家!

それをママはあまりよく思っていない。

『小説家なんて、不安定な職業について……。今は多少売れてたとしても、今後、どうなるかわからないわ。』

なんて言っているのを、この間聞いたばかりだ。嫌いなおじさんに預けるなんて、この変わりようは、一体なんで?

私は、おじさんの家に向かう途中、ずっとそのことを考えていたんだ。何か、あったのかな。

どうしよ、だんだん不安になってきた。それで、車が来ているのに気づかず、怒られてしまったんだ。

しくしく……。でも、おじさんの家の門が見えてきて、やっと安心することができた。

前来た時も思ったけど、大きいなぁ。それに、とってもオシャレ。

パリとかにありそうな感じなんだ。見てるだけで落ち着く。

「ふう。」

私は改めて外装を見る。長年あってなくても、知ってる人がいるって思うと、やっぱり、ほっとするよね。

ピンポーン←インターホンの音です。(>_<)

少しドキドキしながら、インターホンを押す。緊張、してきたかも。

「やぁ、彩ちゃん。いらっしゃい。」

暖かく迎えてくれるおじさん。この人、本当にママのお兄さんなのだろうか。

そう思ってしまうのも、許してほしい。ママだったら、たとえ姪っ子でも、嫌々預かるんだろうなぁ。

しかも、顔に出てしまうから、余計タチが悪い。おじさんは、優しそうなのに。

全く……文句を言う前に、見習ったらいいでしょ。おじさん、とってもいい人だよ!

それに有名だし。仕事でも成功してるよ?…ママ、せめて自分が出来てから、文句は言おうね。

その日の夕食は、なんとお寿司だったんだ。あぁ、お金持ちは違うな。

……これが格の違いですか?

3→←1


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作者名:花梨 | 作成日時:2020年6月23日 10時

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