【忍たま】忘れたくない人2

取り繕った ページ26

私が八左ヱ門に話しかけようとした瞬間にざぁっと少し強い風が吹いた


それによって私も八左ヱ門の髪の毛も激しくなびいた


私はちょうど目の前にいた八左ヱ門の髪の毛がなびく様子を見てすごく儚くて、直ぐに壊れてしまいそうなほど脆いものに感じた



風のせいで少し視線が落ちていた八左ヱ門はすぐそばまで来ていた私に気がついた



竹「あ、A、どうしたんだこんなところで」


そう言う八左ヱ門はいつもの3割ぐらい元気が無くなっているような気がした



心做しかいつもは輝いて見える笑顔も無理やり取り繕っているような笑顔に見えた



「八左ヱ門にこの書類を届けに来たの」


けれど私はそんなことには気付かないふりをして話を進めた


竹「そうか、わざわざこんなとこまでありがとうな」


八左ヱ門はそのまま笑顔を取り繕ったまま書類を受け取った


「仕事だから大丈夫」


そして私はそれじゃあ、と言ってその場を去ろうとした


けれど順調に進んでいた足はどんどん遅くなり、ついには止まってしまった



竹「？どうしたんだA」



八左ヱ門も途中でピタリと止まった私に疑問を覚えたのか話しかけてきた


しかし私はそんな問いかけを無視するようにくるっと体の向きを変え、八左ヱ門の方へずんずんといつもより大股で歩いた



竹「ど、どうしたんだ？」



さすがに八左ヱ門もなにか様子がおかしいと思ったようで少し慌て始めている


そして私は八左ヱ門のすぐ手前まで行き、はっきりと目を合わせた


今の彼の目は何が起こっているのかわかっていないとでも言いたげな目をしていた



そして慌てている八左ヱ門を、よそに私は聞いた



「ねぇ、なんかちょっと元気ないんじゃない？」



先程から気になっていた八左ヱ門の様子について私は尋ねた


そうすると八左ヱ門は驚いたような表情になり、そして少し迷ったように視線をさまよわせたあと、こう言った


竹「最近、Aが俺の事を避けてるような気がして、俺なんかしたかなって、」


まさかの自分が原因で八左ヱ門の元気が無くなっていたのだとわかった


心当たりありまくりの私は返答する言葉に悩んでいると


竹「前と違って一緒に過ごす時間が減ってちょっと寂しかったというか､､その､､」


1度話し出すと止まらなかったのか最後に本人も言うつもりがなかったであろう一言が飛び出した



「寂しかったって､､それって」


自分の言ったことに気がついた八左ヱ門は顔を真っ赤にさせた

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