隣の温もりは今どこに 〜2×T〜

見えない言葉。 ページ12

「へー、長距離の主将かー、すげーな！」


「おぅ！お前の素直さはリーダーに向いてる
って言われちまってよ！」


「さすが高嗣、やるな！」




…本当に脚を怪我したのか。

疑問に思うほど明るく話してくれた。



でも、

やっぱり傷ついてる。





「…やっぱり、陸上続けたかったよな」


「まぁね。…でも、しょうがないよ」


「もう走れないって言われたんだろ…？」


「いや」



顔つきが変わった。





「絶対走れるって俺は信じてる、この脚で」




…ほんとに、

呆れるほど真っ直ぐだな。




そういうとこ。

好きだよ。



「リハビリはキツいけどさ、俺頑張るよ？」


「…ん、応援してる。応援しか出来ないけど」


「それだけでじゅーぶん！」


「…あそ、怪我してもしらねぇーぞ？(笑)」


あぁ！とニカッと歯を見せて笑った高嗣。

その笑顔も、


年をとったせいで少し大人っぽく見える。




忘れない、

あどけない少年っぽさ。



「…ほんとに、高嗣は前向きだよね」


「…違うよ」


「え…？」


「後ろを振り返らない。前しか向けないんだ」




…格好いいよ、本当に。






「…そっか、すげーな。高嗣ってさ」


「でしょ？だって俺さ、裕太のために…」




…え…。



「…あ、やっぱなんでもない。(笑)」





「…はは、なんだよそれ。(笑)」






…気になるじゃんか。

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