その無自覚、どないかならん？２【稲荷崎】

悔しいなあ ページ45

ﾋﾟﾋﾟｰｰｰｰｰｰｰｯ!！



試合終了の笛とともに、井闥山学院高校の応援席からものすごい歓声が湧いた

アナウンサーが井闥山の優勝を告げる



一方で、稲荷崎高校の部員はみな肩を落としていた

コートの中のメンバーも
悔しそうに唇を噛んでいる

ベンチに座るAはボロボロ泣いていた



アップゾーンに立つ北は

あぁ、負けたんやな

と、ぽそりと呟いた




尾白「いつまでもそんな泣きなやA！！
何でお前が一番長いこと泣いてんねん！！」

『だっでええええ
だっでめっぢゃ惜じがっだやないですがぁぁぁあ
悔じいです〜〜〜〜っ！！！』



閉会式も終わって帰りの支度も済みかけているというのに、マネージャーのAだけがいつまでも泣きやまなかった

部員が困り果てていた頃



「A！」

『！！』



向こうの方で、爽やかな声がした



『お父さん！』

双子「おとん！！」

部員「え！？どっちの！？」



こっちに駆けてきたのは
Aの父親の一将だった

一将が現れた瞬間
Aが急に泣き止んで笑顔になる

あろうことか一将の腕の中に飛び込んでいった



『あれ？美沙子さんは？』

一将「先にそとで待ってるって
あ、どうも
桃瀬Aの父親の桃瀬一将です
東京で単身赴任してます」

尾白「ど、どうも…」



部員が戸惑いながら会釈する



一将「この度は準優勝、おめでとうございます
みんなめちゃめちゃかっこよかったですわ
見に来てよかったなあ」



一将が腕の中のAの頭を撫でながら嬉しそうに笑った



北「応援ありがとうございまs」

侑「ええよ一将、そういうん
優勝ちゃうかったら全部ゴミや
敗者には称賛もなんもいらん」

尾白「おい侑！」



侑の言葉に部員が焦る

一将は一瞬目を丸くして、すぐに笑顔になった



一将「でも、俺はすごいと思ったんやで侑
あんなちっこかった侑と治が、あんな立派になって…中身は変わっとらんけど笑
キラキラ輝いとって、ほんまに素敵やった」



その笑顔に侑は何も言い返せなくなる



治「…ごめん一将さん
優勝するって、ゆーたのに」



今度は治がぐずりだした

それも一将が笑顔で返す



一将「俺にも誰にも謝ることやないよ
その前に俺は感謝してるんやで治
治らが頑張ったからこうしてAとまた会えたんや
そんな悲しい顔せんといて」



一将が優しい笑顔で双子の頭を撫でた

北さん一人で大丈夫なん？→←臣臣全然息切れせんやん

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