その無自覚、どないかならん？【稲荷崎】 (ページ15)

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何でそないにモテんのん？ページ15

ボールの跳ねる音に、シューズが床を蹴る音

そして

「せーのっ」

「宮ツインズー！！がぁんばってぇー！！」

黄色い歓声

『あ、アウェイや...』

週末、Aは稲荷崎高校の体育館に
男子バレーボール部の練習試合をみにきていた

『(こんなんきいとらんで治...！！
ただの練習試合やのにあんたら目当ての女の子でごった返しとるやんけ！！

ゆーといてくれや！！)』

あまりの人の多さに、はやくもAは心が折れそうになる

『あ、侑、治』

人混みに揉まれながら、やっとのことでコートが見える場所に来たことで双子が見えた

『！』

治がAに気づき、手をふる

「ぎゃぁぁぁああ！！！」
『うおっ』

Aが少し照れくさいながらも小さめに手をふりかえそうとしたそのとき、近くの女子たちが急に奇声をあげた

どうやら自分に手を振られたとかなんやらで騒いでいるようだった

『そんな人気なんあいつら...？...あ』

Aが奇声に耳を塞いでいると、視界の端に捉えた侑が、機嫌悪そうにそっぽを向くのが見えた

『…？あ、おった、北さんや』

次に、双子のすぐそばに北さんを見つける

『え、うわ…
脚きれ…やば…むり』

脚がみえる練習着はAには刺激が強く
思わず鼻血がでそうになる

そのとき、北さんの隣にいた角名倫太郎と目が合った

それで現実に引き戻されて、Aの表情が消える

一方、角名はそんなAをみて吹き出すように少しわらった

『！？
あいつ笑いやがっt』

「ぎゃあーーーー！！！！」

またもや近くの女子が熱狂

角名倫太郎のファンたちだ

『えっ、みんなあんなんが好みなん？？
理解できん…』

Aは角名倫太郎が苦手だ

なぜか

全部見透かされてる感じがするからだった

その本心が見えない瞳は、Aにとっては嫌なものがあった

『まあでも...顔は良い...かぁ？？？？？？』

いつもプリンひとつでケンカをおっ始めて殴り合いにまで発展する双子と

笑ってんのか何なのかわからないし、本心が全然読めない角名倫太郎に

こんなにもファンが多いことにいまいち納得できないまま、練習試合がはじまった