轟くんはビンタされても近づきたい【轟焦凍】 (ページ20)

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20話　私は轟くんに告白するページ20

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「八神八神！恋バナしよ！」

女子だけが集まっている共有スペースで、恋バナを提案したのは芦戸さんだった。芦戸さんの提案に目に見えて乗っかったのは葉隠さんだった。

「あの、もしかしてこの前言ってたやつ？」

「そうだよ〜！」

"この前"というのは、轟くんが恋バナを知らないって話のときに
芦戸さんが『女子だけで恋バナしよう』と言ってたことだ。

あの時の話、続いてたんだ…

「んで？アレからずっと二人でいるけど、八神はどう思ってんの？」

と、耳郎さんが直球で聞いてきた。
他の女子も興味津々なのか、じっと私の顔を見つめている。

正直にいま思ってることを言おう…。

「多分、私は轟くんのこと好き、だよ。
轟くんの発言で驚かされたり、ドキドキしたりするけど、轟くんと一緒にいたいって思う反面ドキドキすることもあったりし————て」

「「それもう多分じゃないよ！！！！」」

殆どの女子にそうつっこまれた。

「ご…ごめんね。私、同級生の男子のことを好きになったことがないから恋愛は全然分からなくて。」

「初恋の相手が自分のこと好きって分かってんなら早く告白しなきゃね！八神！」

「告白は正直、ちゃんと言えるか自信ない…」

「Aちゃん、照れ屋さんやもんね。」

「教室でもよく轟ちゃんの言葉に顔を真っ赤にして大きな声で話しているものね。」

と、麗日さんと蛙吹さんに言われた。
顔を真っ赤にして大きな声出してること普通に無意識だったから、こう指摘されると恥ずかしくなる。

「大丈夫だよ！三奈ちゃんが言ったように轟くんはAちゃんのこと好きだから失敗はしないよ！」

「もし気持ちが落ち着かないようであれば、リラックスできると紅茶をご用意いたしますわ」

ああ、ここにいる皆は優しい人ばっかりだ。

私のことを、受け入れてくれて、優しい言葉をかけてくれる。

恵まれてていいのかな。

いいよね。

でも、もっと欲を言うならもっと早くに皆に会いたかった。

向き合えばよかった。

「みんなありがとう。私、ちゃんと轟くんに——————」

「俺がどうした？」

「わあああぁぁ？！」

共有スペースに来た轟くんの姿と声にびっくりした。

"告白する"って、私いってないよね？聞こえてないよね！？

「なあA、俺になんか用だったのか？それなら呼び出して良かったんだぞ」

「なっなんでもないから！」

さすがに皆がいる前で告白なんかできない…！