轟くんはビンタされても近づきたい【轟焦凍】 (ページ13)

今日:13 hit、昨日:3 hit、合計:51,909 hit

13話　轟くんは恋バナを知らないページ13

・

「つーか俺も八神の恋バナ普通に気になるわ〜女子だけずりーだろ！な！轟！」

上鳴くん、なんで轟くんにその話振ったの！？！
絶対わざとだ…！！！

「こいばなってなんだ？」

「恋バナっていうのは恋人の話とか好きな人の話とかするんだよ！轟が恋バナするんなら八神のこと話すんだよー！」

と、芦戸さんが答える。
心なしか轟くんの目が光ったような気がした。
その目で私の顔をじっと見ている。

嫌な予感しかしない。
今すぐ放課後になってほしい。

「Aは好きな奴——————」

「教えない」

好きな人なんていない。
だけど正直に答えたら、益々"頑張ってきそう"だから言わなかった。

「そうか。まあ、いてもいなくても俺が勝つ」

轟くんの発言に四人がひゅーひゅーと冷やかす。
けどそれは私だけダメージがくる。

「そういうことわざわざ言わなくていいから…！」

「言わないと伝わらないだろ…？」

「そんなマジレスされても困るから！」

「まじれす、ってなんだ」

「もういい…」

マジレスはともかく、恋バナも知らないって…
育ちがいいから知らないのかな…というか轟くんって恋バナしたこと、ないか。どっちかって言うと女子の恋バナの定番人物として登場してるよね。

「なあなあ轟〜八神のどんなとこが好きなワケ？
もう告ってるようなもんだし教えてくれよー！」

と、上鳴くんが轟くんに両手を合わせて"お願い"という。

後で上鳴くん覚えてろよ…

「そんなの全部に決まってんだろ…？」

その場にいたクラスメイトが、すごいスピードで顔に熱を帯びたのは言うまでもなかった。

私はそっち側じゃなくて、

私のどこにそんな良いところあったの…？！

って、驚いていた。