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靴も揃えずにバタバタと部屋へと走る。
おもむろにバックを投げ捨て、茶封筒を手に取るとビリビリと封を開けた。
中を見ればいつもと同じように数枚の写真が入っていて、
『……?』
今日はそれだけじゃなかった。
2つに折られた小さなメモが同封されていた。
恐る恐る中を見れば、
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" 仕事ミスなんて珍しいね? "
『…っ、』
私は瞬時にこいつから逃げられないと悟った。
夜だということも忘れて私は沢山泣き叫んだ。
…どうして私がこんな目に合わなくちゃいけないんだろう。
どうして、
どうして、
考えてもその答えは見つからない。
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____prrrrrr…
突然の着信音に思わずビクッと体を震わせる。
スマホを手に取り、着信元を見れば非通知からだった。
自然と震えてしまう手を必死に抑えながらも私は画面をタップする。
『……もしもし、』
「…………」
電話口からは声がする訳でもなく、無機質なノイズだけが流れていた。
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『……書き換えたの、貴方ですか、』
「…………」
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『…なっ、なんでこんなことするんですか…!』
「…………」
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『もう、いい加減にしてください!!!』
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「…………ククッ」
『っ、!』
不気味な笑い声が聞こえて、思わず手からスマホを落としてしまった。
画面を見ればすでに通話終了の文字。
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一体、誰が…
誰がこんなこと…
私を憎んでいる職場の人か、
それとも、
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……翔太。
貴方だったりしないよね…?
どれだけ疑って周りに目を光らせたとしても
知らない人に監視される毎日は避けられないみたいだ。
これからもそんな生活をしないといけなくて、
嫌でも出勤しないといけなくて、
私の心は既に限界を迎えていた。
…病院にも行ったりした。
初めて精神科を受診した。
原因はストレスとしか言われなくて、
まだ病気じゃないだけ良かったものの。
心のどこかでそれを言われ望んでいる自分もいた。
別に病気になりたいわけじゃない。
ただ、もう逃げたい。
それだけだった。
『ふっ…ぅ…っ、』
重い体をなんとか動かして、
全てを洗い流すかのように冷たいシャワーを浴びた。
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はる - とても面白くて一気読みしていました!続きが気になるので、宜しければパスワードを教えて頂きたいです。よろしくお願いいたします! (2021年6月24日 1時) (レス) id: 8cb2e2585a (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 『殻を知らない蛇は』を読んで、とても面白いなと思ったのでこちらの作品も読ませていただきました!続きが気になるのでパスワードを教えていただきたいです。よろしくお願いします! (2021年6月22日 21時) (レス) id: 22c18f65d8 (このIDを非表示/違反報告)
sweetlarme(プロフ) - Rieさんのお話どんどん続きが気になって一気読みしちゃいます。続きが読みたいので、良ければパスワードを教えていただきたいです。よろしくお願いします。 (2021年6月3日 23時) (レス) id: cc4072ce2b (このIDを非表示/違反報告)
かに(プロフ) - パスワード教えていただきたいです! (2021年6月2日 19時) (レス) id: 0501681899 (このIDを非表示/違反報告)
An(プロフ) - Rieさんの世界感とっても好きです。宜しければパスワード教えて頂きたいです。続きがとても気になってます、、 (2021年6月2日 18時) (レス) id: 9f0db7920c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Rie | 作成日時:2020年1月17日 0時