【文スト】名も無き文豪、儚い蛍灯を光灯せば【太宰治】

廿壱 ページ27

▼廿壱 武装探偵社／正午／晴れ



「金平糖だよ何時も買い出しで良い結果を残しているからね。僕がお菓子を誰かに上げるだなんて珍しい事だし、感謝してほしいね」

思い出せば家でもよく金平糖を口にしていたな…。そうか、菓子繋がりのあると互いの好物を知っているのか。
そう云えば乱歩さん、鏡花ちゃんと歩佳ちゃんには甘いよなぁ。二人以外に菓子を上げたりする様な行為は余り見ないからな。
そんな事を考えていると乱歩さんは此方を向いてこう云った。

「とりあえず太宰。歩佳からは嫌われてないよ。まぁ太宰にもこの僕からの助言をして上げようじゃないか」

私はその言葉を聞くと、心と躰にあった重みはスッと消え去って行った。



今迄女性とは色んな関わりを持つ私だが、心から好きになった女性には、こんにも夢中になるものなんだと、私は改めて思った。


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▼廿壱 依頼者宅／正午／晴れ



あの後与謝野先生からある依頼を私と太宰、二人で行って来いと命じられ、現在依頼者の家へお邪魔している。
あの与謝野先生だ。断るにも出来ない人に目付けられちゃったな…。
ナオミは勿論、与謝野先生側だし、今回私についてくれる人は居なくて。
まぁ仕事は仕事、切り替えなくては。

「其れでは確認の為、依頼内容をもう一度お聞かせ下さい」

「嗚呼何とお美しい！是非、私と心中を…！」

「アンタは黙ってて！心中するなら一人でどうぞ御勝手に！」

嗚呼、此奴は人の調子を直ぐ狂わせる。
咳払いをし、元に切り替える。心中を迫れた依頼主は困った表情。「すみません、どうぞお気になさらず」と云い、場の空気を変えようとする。
後ろから「心中は一人では出来ないもん」などと聞こえたが、無視した。

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