reminiscence..【佐野万次郎】 (ページ16)

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その後、圭介と先生と合流してただひたすら静かに待っていた。

診察室から看護師さんが出てくると先生が対応した。
エマは治療をする為に麻酔をかけられ眠っていた。
目が覚めるまでまだ時間がかかるとのことだったから私と圭介は万次郎を残してこの日は家路に着いた。

日が沈んだ頃、「A〜？！万次郎ちゃんから電話〜！」とおばあちゃんから声がかかった。
私は急いで電話を受け継いだ。

「もしもし、次郎？」

「A？オレ。」

「うん、…あの後どうだった…？」

「足、骨折だって」

「………そっか…」

「うん。けど入院はしなくて済んだ。まぁしばらくは安静にしなきゃだけど」

私は「お見舞いに行く」と言うと万次郎は「エマに伝えとく」と言い電話を切った。
後日、私はおばあちゃんにお願いしてエマが以前「また作って！」って絶賛してくれたケーキを一緒に作ってもらいお見舞いに行った。

私はエマの部屋をノックしてドアから顔を出して持ってたケーキの箱を見せるとエマは喜びのあまり興奮しだした。
そんなエマを落ち着かせて私は持ってきたケーキを分ける為一旦台所まで来た。
万次郎にも「食べてね」と声をかけ、分けたケーキと飲み物をおぼんに乗せると再びエマの部屋に向かった。

エマの食いつきはそれはもう良くて、クリームを口に付け頬張りながら「もう一個食べる！」と言うエマに私は「わかった(笑)待ってて」と言い席を立つ。

再度台所に戻って冷蔵庫を開けた。
すると、閉まっておいたはずのケーキが無い……？
あれ？と思いつつさっき万次郎にも声をかけたことを思い出して大きな声で「次郎ーー？！」と呼んだ。
呼びかけに応じるように付近から「なにーー？」と聞こえたから、私はその声がする方へと行った。

縁側に座る万次郎の後ろ姿に私は「ねぇケーキ知らない？」と言った。
万次郎は振り向き何やら口をモグモグと動かしていた。
なんだ万次郎も食べてるのか…なんて思いながら近付いた。

「ちょーウマいこれ、どこの？」

「ふふっ作ったんだよ、おばあちゃんと一緒に…ってあれぇ？！？！」

「ん？なに」

「え！ケーキ！もしかして1人で全部食べちゃった？！」

「あーごめん、ウマすぎて気付いたら全部食べてた」

どうしようって思ったけどあんな美味しそう食べてくれた万次郎を責める気はしなかった。
私は部屋に戻ってエマに事情を話すと、自分のケーキをエマにあげた。
ごめんねエマ、また作るから…！！