reminiscence..【佐野万次郎】 (ページ15)

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「ッうわぁぁぁぁあん！！！！！」

地面に鈍い音が鳴り響いてすぐにエマが泣き声…いや、叫び声と言った方が相応しかった。

「エマ！！…次郎どうしよう！！」私が動揺しながら万次郎の方を見る。
圭介は「えっと、えっと…そうだ救急車！救急車を呼ぼう！！」と言ったが万次郎がすぐに「いやダメだ、すぐに病院に連れてく」と言った。
その間もエマはずっと泣いていた。

私と圭介でエマをゆっくり抱き起すと万次郎の背中に捕まらせた。
私が「先生に知らせに行ってくる！」と言うと圭介は「オレの方が早い！オマエはマイキーと一緒にいろ！！」と言い走り出した。

万次郎は真夏日の炎天下の中、一度も足を止めることなく病院へと足を動かし続けた。

「大丈夫だからねエマ、もう少しで病院着くからね」

私は声を掛け続けて持っていたハンカチを広げると2人に向けて大きく仰ぎ続けた。
少しでも涼しくなるように、こんなことしか出来ない自分が不甲斐なくて仕方なかった。

病院に着くと私達に気付いた人がすぐに看護師さんを呼んでくれてエマを引き取ってくれた。

待っている間、私はポッケの中に手を突っ込むと小銭を出して数えた。
全部で150円ある。
1人分の飲み物は買える。
自販機で飲み物を買うと椅子に座る万次郎に「はい、」と渡した。
万次郎は一言「さんきゅ」と言ったあとゴクゴクと喉を鳴らしながら一気飲みをした。

「………？、あれ、オマエのは？」

「あー…いいの、私は。次郎疲れたでしょ？飲みな？」

私は微笑みながらそう言うと万次郎の隣に座った。
万次郎は少し黙った後「ん、」と持っていた飲み物を私に差し出した。

「大丈夫だって(笑)」

「いいから、」

「………じゃあ…ありがと。」

「うん」