メッセージ 【白布賢二郎】

ー ページ17

「白布ー！今日空いてる？」


「ごめん、今日俺勉強するから」






キャンパスの出口へ向かう道中




大学の同級生が声をかけてきた。




「ちぇー偉いなぁ




ってかお前ってさ、なんで医学部入ろうと思ったの？」



「絶対言わない」




「えー！？」



いいじゃねえかとジタバタする友人を尻目に




今日の復習をとノートを取り出した。







その時





ポケットのスマホが震えて








何だろうと思って画面を見ると






そこにはー









「でさぁ、俺そこの担当の人に………って白布……？






おまっ、泣いてる…！？」





「………うっせえっよっ………」





液晶画面に落ちる大粒の雫の下で






映る短い文章の向こうに








俺は







あの日恋したAの弾けるような笑顔が垣間見えた気がして









思わず






呟いた。








「A………」









見上げた空は








この梅雨の時期には珍しい









吸い込まれそうな青色だった。









「白布が狂った…！？はい！テッシュ！なんか知らんけど元気出せ！」





「うっせー！俺は泣いちゃいけねーの！！」





「何言ってんのかますますわかんねぇよ！」

Re：タイトルなし→←ー

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す