月恋 第43話 「見解」 ページ44
自分のアイドルとしての在り方について、答えを見付けようと、頭を必死に回転させ、考え、散々思考を巡らせるも中々答えにありつけず。
明日が来なければ良いのにとまで思う程悩み続ける私の願いは、遥か高い場所に位置する空に届く筈も無く時間は進み、余り眠れないまま太陽が容赦なく私の部屋に明かりを差した。
寝不足で疲れの取れきっていない体を無理矢理、己の体温で丁度良く温まった布団から抜け出させる。
そしてノロノロと顔を洗い、歯を磨き、或る意味芸術的な作品となった寝癖を整えてから制服に着替える。
漸く人様に見せられる様な姿になってから、もうすっかり見慣れたプロセラの共有ルームへと足を向かわせた。
「おはよーございます」
肌を鋭く刺す様な冷たい水で顔を洗った筈が、まだまだ覚醒していない寝ぼけ眼を擦り、はっきりと呂律が回っていない状態で一言告げる。
「おはよう、Aちゃん」
淡い黄色のエプロンを身に付け、聖母にも負けないくらい優しい笑みを浮かべながら朝食の準備を手際よく行う長月さんの姿を発見。
彼の笑顔は何時も柔らかくて、更に眠気を誘うような気がしてならない。
「おーおー眠そうだなA」
「葉月さん?」
長月さんの笑顔を目に写し、開きかけの瞼が再び閉じようとしていた時である。
昨日まで居なかった人物の声が私の鼓膜に響いてきて、驚きの余り眠気が一瞬にして吹っ飛んだ。
「昨日まで奈良に居たんじゃ無いんですか?!」
共有ルームの真ん中の方にある大きなソファに座りながら、お洒落な服が沢山載っている雑誌を広げる葉月さんの姿があった。
「さっき帰ってきたんだよ。俺は午後から仕事だし。つか、お前なんで制服着てんだ?」
理由を聞いて、嗚呼、成る程と手を叩く。そんな私が着ている制服を葉月さんはマジマジと見詰める。
なぜ、制服を着ているのか。
やけに可笑しなことを聞くなと私は首を傾げつつ、制服を着ている訳を述べるため口を開いた。
「え、だって学校が―――」
「今日からGWだぞ?」
怪訝な顔を浮かべ、カレンダーを指差す葉月さんの言葉に私はハッとした。
そう、今日からGW。学校など無いのである。
昨日の男性記者と文月さんの問い掛けに対する答えを見付けるのに必死で、すっかり頭から抜け落ちていた様だ。
どうやら、考え事をすると途端に周りが見えなくなるタイプらしい。
自分に対する見解を改めて理解した今日此の頃………
月恋 第44話 「笑いの沸点」→←月恋 第42話 「優しい空間」
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櫻餅(プロフ) - snowさん» コメント有り難う御座います。少しでも共感して頂けて、大変嬉しく思います。これからツキウタ。メンバーと関わり、夢主がどんどん成長出来るお話にしていきたいと思っておりますので最後までこのお話にお付き合い願えたら嬉しいです。応援有り難う御座います！ (2017年12月21日 19時) (
レス) id: 5dfdc31c69 (このIDを非表示/違反報告)
snow(プロフ) - こんにちわ♪最新話読みました。ちょっと、自分のことみたいにホロリとしました。ヒロインちゃんが無事に乗り越えてくれると信じてます。目標が早く見つかること、祈ってます。頑張って下さい！ (2017年12月20日 14時) (携帯から) (レス) id: bc61ae6263 (このIDを非表示/違反報告)
snow(プロフ) - 櫻餅さん» 待ってます。急激に寒くなりましたので、風邪など引かないように気を付けてください。 (2017年10月7日 1時) (携帯から) (レス) id: bc61ae6263 (このIDを非表示/違反報告)
櫻餅(プロフ) - snowさん» ありがとうございます！そう言って頂けて嬉しいです！不定期更新ですが、頑張ります。 (2017年10月7日 0時) (レス) id: aab212b765 (このIDを非表示/違反報告)
snow(プロフ) - 初めまして♪楽しく拝見させて頂きました。愛ちゃんへの愛が溢れていて、素敵でした。更新、楽しみにしてます。これからも頑張って下さい!! (2017年10月6日 9時) (携帯から) (レス) id: bc61ae6263 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：櫻餅 | 作成日時：2017年9月19日 0時
