月恋 第18話 「勝ち誇った笑み」 ページ19
「んー、美味しい!」
夜が作っただし巻き卵を美味しそうに頬張るAに、夜が母親の様な優しい眼差しを向ける。
嗚呼、俺の幼馴染みに母性が芽生え出している。流石はプロセラの母、と感心しながら自分も朝ご飯を食べていく。
しかし、細くて小さい体でよく食べるなァ。
隣でパクパク、白米を口に入れていくAを見て思う。昨日の夕飯も、新程ではないが変化の薄い表情を少し緩ませてよく食べていた。
夜が嬉しそうにする理由が分かる。
「あ、そういえば文月さん、昨夜はありがとうございました!お部屋まで運んでくださったそうで、水無月さんから聞きました。それに、携帯のアラームまでお借りしてしまってすみません」
「おお、気にするな!」
海が爽やか且つ力強い笑顔を浮かべて、わしゃわしゃとAの頭を豪快に撫でる。否、其処は手加減してやれよ。折角整えた髪が乱れちまってるじゃねェか。
「A、後で俺の部屋へ来い。髪、整えてやるから」
海に撫でられて嬉しそうにするも、ちょいちょいと片手で乱れた髪を気にするA。それを見かねて声を掛けると、表情はあまり変わっていないがパッとAの周りの雰囲気が明るくなり、コクンコクンと大きく頷いてきた。
多分、尻尾が付いていたら大きく左右に揺れているんだろうな。と考えつつ、こんな妹が欲しいなと切実に思った。
「………A、俺の妹にならないか?」
海も俺と同じことを考えたらしく、俺が口にする前にそう言った。
「文月さんのですか?文月さんも良いですけど、私、霜月さんの妹になってみたいです」
ピシリッ、Aの予想斜め上以上の言葉にその場の空気が凍りついた。
キラキラと目を輝かせるAを前にして、我らが兄貴である海、玉砕である。そして魔王様は上機嫌。
「ああ、勿論大歓迎だよ!さあ、いつでもこの兄の胸に飛び込んでおいでMy sister!!」
勝ち誇った笑みを浮かべ、両手を広げる隼と机に突っ伏して泣き崩れる海。そしてそれを必死で慰める夜に郁、一応涙。
うちの朝食は今日もカオスであった。
「俺は何処から突っ込めば良いんだよ!!」
そろそろ隼から送られてきた、育毛剤を使ってみようかなと思ってしまった今日この頃……。
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櫻餅(プロフ) - snowさん» コメント有り難う御座います。少しでも共感して頂けて、大変嬉しく思います。これからツキウタ。メンバーと関わり、夢主がどんどん成長出来るお話にしていきたいと思っておりますので最後までこのお話にお付き合い願えたら嬉しいです。応援有り難う御座います! (2017年12月21日 19時) (レス) id: 5dfdc31c69 (このIDを非表示/違反報告)
snow(プロフ) - こんにちわ♪最新話読みました。ちょっと、自分のことみたいにホロリとしました。ヒロインちゃんが無事に乗り越えてくれると信じてます。目標が早く見つかること、祈ってます。頑張って下さい! (2017年12月20日 14時) (携帯から) (レス) id: bc61ae6263 (このIDを非表示/違反報告)
snow(プロフ) - 櫻餅さん» 待ってます。急激に寒くなりましたので、風邪など引かないように気を付けてください。 (2017年10月7日 1時) (携帯から) (レス) id: bc61ae6263 (このIDを非表示/違反報告)
櫻餅(プロフ) - snowさん» ありがとうございます!そう言って頂けて嬉しいです!不定期更新ですが、頑張ります。 (2017年10月7日 0時) (レス) id: aab212b765 (このIDを非表示/違反報告)
snow(プロフ) - 初めまして♪楽しく拝見させて頂きました。愛ちゃんへの愛が溢れていて、素敵でした。更新、楽しみにしてます。これからも頑張って下さい!! (2017年10月6日 9時) (携帯から) (レス) id: bc61ae6263 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:櫻餅 | 作成日時:2017年9月19日 0時