月恋 第45話 「胸が締め付けられた」 ページ46
「あれ、Aちゃん出掛けるの?」
朝食を食べて少し時間が経った頃、出掛けようとした私に郁兄が声を掛けた。
「はい、今日はダンスレッスンに行ってきます」
郁兄や長月さんたちが実家に帰っている間、私は事務所の意向でダンスレッスンとボーカルレッスンのスクールに通うこととなったのだ。
私は歌が幾ら上手いと言えど喉から声を出して歌ってしまったり、苦手な音になると途端に声が掠れてしまう。そのうえダンスは大の苦手である。詰まり、歌とダンスに関してはド素人。
声の出し方や、ダンスの基本を学び、此れからの活動に活かしていくためのレッスンだ。
少し先生が厳しいけれど、此れも愛さんに会うためだと思えば何てことない。なんて密かに意気込んでいると、何時もよりラフな格好をした皐月さんがやって来た。
「Aちゃんもダンスレッスン?」
相変わらず爽やかだ。皐月さんの人柄がそのまま雰囲気に出ているのか、居るだけで空気が浄化されそうな癒しオーラが彼にはある。
「はい………皐月さんもですか?」
「そうなんだ。新もなんだけど、今日は仕事場から直行するみたい。スクールまで一緒に行かない?」
教えてもらっている先生は違うけれど、通っているスクールは皆さん一緒。だから、時々練習日が被って一緒にスクールまで向かう日がある。
「ぜひ!」
今日は丁度皐月さんと卯月さんと被った様だ。
「じゃあ、行ってきます」
「郁兄、行ってきます!」
「行ってらっしゃい! あ、Aちゃん、車には気を付けるんだよ?」
「はーい!」
私は元気よく頷き、最近、私を子供扱いする郁兄に見送られながら皐月さんとスクールへと向かうことになった。
「郁はすっかりAちゃんのお兄さんだね」
皐月さんとコンクリート地面に2つの陰を作りながら、スクールまでの道のりを歩く。まだ時間に余裕があるからか、歩く速度は何時もよりのんびり。
「凄く面倒見の良い、私には勿体無いお兄ちゃんです」
私と郁兄のそんなやり取りを微笑ましそうに、まるで母親の様な眼差しで見詰めていた皐月さんがふんわりと柔らかく笑った。
「そうなんだね。Aちゃんは一人っ子なの?」
「一人っ子です」
「そっか、じゃあお父さんやお母さんが寂しがったんじゃない? 大切な一人娘が、岐阜から東京に行っちゃう訳だし」
皐月さんの苦笑いと、優しい声と共に発せられた一言がやけに胸を締め付けた。
月恋 第46話 「身の毛がよだつ」→←月恋 第44話 「笑いの沸点」
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櫻餅(プロフ) - snowさん» コメント有り難う御座います。少しでも共感して頂けて、大変嬉しく思います。これからツキウタ。メンバーと関わり、夢主がどんどん成長出来るお話にしていきたいと思っておりますので最後までこのお話にお付き合い願えたら嬉しいです。応援有り難う御座います！ (2017年12月21日 19時) (
レス) id: 5dfdc31c69 (このIDを非表示/違反報告)
snow(プロフ) - こんにちわ♪最新話読みました。ちょっと、自分のことみたいにホロリとしました。ヒロインちゃんが無事に乗り越えてくれると信じてます。目標が早く見つかること、祈ってます。頑張って下さい！ (2017年12月20日 14時) (携帯から) (レス) id: bc61ae6263 (このIDを非表示/違反報告)
snow(プロフ) - 櫻餅さん» 待ってます。急激に寒くなりましたので、風邪など引かないように気を付けてください。 (2017年10月7日 1時) (携帯から) (レス) id: bc61ae6263 (このIDを非表示/違反報告)
櫻餅(プロフ) - snowさん» ありがとうございます！そう言って頂けて嬉しいです！不定期更新ですが、頑張ります。 (2017年10月7日 0時) (レス) id: aab212b765 (このIDを非表示/違反報告)
snow(プロフ) - 初めまして♪楽しく拝見させて頂きました。愛ちゃんへの愛が溢れていて、素敵でした。更新、楽しみにしてます。これからも頑張って下さい!! (2017年10月6日 9時) (携帯から) (レス) id: bc61ae6263 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：櫻餅 | 作成日時：2017年9月19日 0時
