月恋 第22話 「背中の針」 ページ23
ラジオの収録を終わらせ、郁兄に暴走してごめんなさいとだけ伝え、実家から荷物が届いていると聞きツキノ寮へ帰る。
郁兄は引き続き撮影のお仕事に行き、他のメンバーも仕事だったり学校だったりで急がしそうな様子。
私はもう既に届いていた新しい中学の制服を出してどんな物かを確認してみるも、リボンの色も作りもそんなに変わらなかった。
そして荷物の中には、わざわざ我が家のお抱え運転手、松野さんが車を岐阜から東京まで走らせて届けてくれた母さんのおさがりであるバイオリンと、ペットのカメレオン、ポチ丸1321号が居て私は大喜び。
後で松野さんにはお礼の連絡を入れておこう。
「会いたかったよポチ丸さん!」
ギョロギョロと動く大きな瞳に、ゴテゴテとした凹凸のある緑色の肌、そして飛び回る獲物を素早く捕らえることの出来る長く粘着力のある舌が堪らないカメレオンのポチ丸1321号、略してポチ丸さんをゲージから出して優しく抱き締める。
嗚呼、ポチ丸さんに会ったら次はポチ太郎に会いたくなってきた。
「お前もポチ太郎に会えなくなって寂しかろう。でもごめんね、私のせいで暫く会えなくなるのだよ。少しの間かもしれないから、私の癒しの為に我慢してね」
ポチ丸さんと一緒に届けられた松野さんからの手紙に、父さんは突然アイドルになると言って、家を出ていった私に大激怒、必ず家に連れ戻すと息巻いていると書かれていた。因みに、父さんのペット、針ネズミのポチ太郎も父さんに釣られて背中の針を尖らせていたそうな……。それを読んで、私は背筋を凍らす。
あの頑固親父は、やると言ったら絶対やり遂げるまで意見を変えない人である。必ず連れ戻しに来るぞ、と嫌な考えが頭に浮かぶ。
しかし、松野さんは落ち着くまで、父さんには私の居場所を教えない様にしてくれるらしく一安心。
「それがポチ丸13……」
「ポチ丸1321号、略してポチ丸さんです」
ホッと安堵の溜め息を吐いていると、コンコンッとノックが聞こえ、自室の扉が開かれる。そして水無月さんがヤマトと共に、ひょっこり顔を出した。
「あ、水無月さんは爬虫類大丈夫ですか?」
爬虫類は好きな人と苦手な人の差が激しい。その事に今更気付く。
「大丈夫、触ってもいい?」
「どうぞどうぞ!」
ゆったりとした口調でポチ丸さんを見つめ、ゆっくりとポチ丸さんへと手を伸ばし撫でる水無月さんであった。
月恋 第23話 「素晴らしき」→←月恋 第21話 「我が生涯に一片の悔い無し」
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櫻餅(プロフ) - snowさん» コメント有り難う御座います。少しでも共感して頂けて、大変嬉しく思います。これからツキウタ。メンバーと関わり、夢主がどんどん成長出来るお話にしていきたいと思っておりますので最後までこのお話にお付き合い願えたら嬉しいです。応援有り難う御座います！ (2017年12月21日 19時) (
レス) id: 5dfdc31c69 (このIDを非表示/違反報告)
snow(プロフ) - こんにちわ♪最新話読みました。ちょっと、自分のことみたいにホロリとしました。ヒロインちゃんが無事に乗り越えてくれると信じてます。目標が早く見つかること、祈ってます。頑張って下さい！ (2017年12月20日 14時) (携帯から) (レス) id: bc61ae6263 (このIDを非表示/違反報告)
snow(プロフ) - 櫻餅さん» 待ってます。急激に寒くなりましたので、風邪など引かないように気を付けてください。 (2017年10月7日 1時) (携帯から) (レス) id: bc61ae6263 (このIDを非表示/違反報告)
櫻餅(プロフ) - snowさん» ありがとうございます！そう言って頂けて嬉しいです！不定期更新ですが、頑張ります。 (2017年10月7日 0時) (レス) id: aab212b765 (このIDを非表示/違反報告)
snow(プロフ) - 初めまして♪楽しく拝見させて頂きました。愛ちゃんへの愛が溢れていて、素敵でした。更新、楽しみにしてます。これからも頑張って下さい!! (2017年10月6日 9時) (携帯から) (レス) id: bc61ae6263 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：櫻餅 | 作成日時：2017年9月19日 0時
