ウラオモテカノジョ～あざとい女の子はきらいですか？～【1】 (ページ6)

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とあるラジオにてページ6

とあるラジオ番組にて。友人の杉田智和とぐだぐだ、くだらない話を続けていたときであった。

「そういえば中村さ、細谷くんが久野美咲ちゃんのこと大好きなのは知ってる？」

今、話題に上がっていたアニメに出演していた細谷くんと久野ちゃんの名前がふと、杉田の口から上がった。

「あー、なんかそんなようなことはちらっと聞いた」
「そうそう。なんか、久野ちゃんが妖精に見えるって言ってたんだけど、あのあとさ、また彼に推しが増えたの知ってる？」
「え、それは知らんなぁ」

初耳だ、と話の続きを促す。

「なんかこの前、細谷くんに会ったときに、彼、最近いっしょに仕事した三ヶ井 Aちゃんのことが小動物……リスに見えて、もう可愛くて仕方がないって言い出したんだよね」
「あー、分からんでもない」
「そう。俺もそれ聞いたときに、確かに！って納得しちゃったんだよね」

幼い頃からずっと、この業界で活躍している女の子の姿を思い浮かべて俺は思わず頷いた。

確かに、杉田や細谷くんの言う通り。彼女は小柄で可愛らしい見た目をしている上に、動作がどこかちょこまかしていて小動物みがある。それこそ、細谷くんが言うようにリスっぽいのだ。

「まあ、彼女けっこう私生活とか謎なんだけどね……久野ちゃんと仲が良いのは知ってるけど」

杉田の言葉に、再び深く頷いた。

「気になるけどなぁ」
「礼儀正しくて良い子だし、演技も上手いんだけどなぁ」
「そうそう、演技になると雰囲気ガラッと変わるよな」

明るくて人懐っこく、笑顔の絶えない女の子。けれど、演技になると一気に雰囲気が変わるのだ。

「役になりきるというか、自分に役を憑依させてんだよ……凄いよなぁ」
「あれは俺も凄いと思う」

一回、マイクの前に立ってしまえばあら不思議。そこにいるのは三ヶ井 Aなのか、演じているキャラクターなのか分からなくなってしまうほど。

そんな彼女は久野ちゃんと仲が良いこと以外の私生活が謎なのだ。それは、声優界ではもっぱらの噂となっている。それこそ、石田さんレベルで。

「気になるよな。ちょっと頑張って今度、喋りかけてみようかな……引かれるかもしんないけど」
「そりゃ、気にはなるけどお前、あんまりぐいぐい行って怖がらせんなよ」

ラジオだから一応、建前上の忠告はしとくものの人のいやがることを絶対しない杉田なら大丈夫だろう。