二人の世界を作りがち ページ5
とあるアニメの収録現場にて。少し早めに着いてしまったからと、偶然、収録日が重なっていた所属事務所の先輩であり親友である久野 美咲ちゃんに引っ付きながら台本を読んでいれば……
「おはよ」
突然、読んでいた台本に影が差し掛かり、格好良い低音ボイスが頭上から降ってきた。
「お、おはようございます」
いきなりのことで驚き、うまく笑顔が作れず。ひきつった笑顔を浮かべながらも、なんとか挨拶をかえしてとなりにいる久能ちゃんに更にくっついて。恐る恐る、上を見上げれば私に声をかけてきた彼は少し不機嫌そうに眉をひそめた。
「なに、まだ俺のこと怖いの?」
「いえ、そんなことはない、です。はい……」
「めっちゃ口ごもるじゃん」
「す、すみません」
「いや、別に怒ってないけど」
アーツビジョン所属の梅原 裕一郎さん。爽やかな見た目と、その鼓膜を静かに揺らしてくる低音ボイスで超大人気の声優さんである……が、私は彼が少し苦手だ。
初共演以来、よく話し掛けてくれる優しくて良い人なのだろうけれど、たまに小学生男子みたいな変なちょっかいをかけてくる読めない方のため、さすがの私もどう接すれば良いのか分からないのである。
「あーっ、梅ちゃんがまぁたミケちゃんに迫ってる。いけないんだー!」
距離を詰められ、じっと見下ろされ、となりの久野ちゃんと共にたじたじになっていたところへ救世主がご登場。
アクロス エンタテインメント所属、丸眼鏡がお似合いの花江 夏樹さんが私たちの間に割って入ってきてくれた。
「いや、迫ってねぇよ。ちょっとコミュニケーション取ってただけ」
「いや、ぜんぜんコミュニケーション取れてなかったよね?!」
そこから梅原さんと花江さんが何やら盛り上がり、二人で話し出してしまい私たちは完全に放置。それを良いことに、私はいまだに鳴り止まぬ心臓を静めるため、久野ちゃんの腕にひしっとしがみついた。
「き、緊張した……」
「したねぇ……」
久野ちゃんもまた、自分の右腕にコアラの如くしがみつき始めた私の手を反対の空いた手で握り返してくれた。お、落ち着く……!
〜その頃のお二人〜
「まーたイチャついてる」
「はい、梅ちゃん妬かない妬かない」
「いや、妬いてないけど?」
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リンリン(プロフ) - オチは1番か3番希望です (2022年5月19日 16時) (レス) @page46 id: 68dd5d6199 (このIDを非表示/違反報告)
櫻餅(プロフ) - アカリさん» かしこまりました。少々お待ちいただけると嬉しいです。 (2021年12月18日 12時) (レス) id: c0a9d4f092 (このIDを非表示/違反報告)
櫻餅(プロフ) - ジェラートさん» ありがとうございます。参考にさせていただきます。 (2021年12月18日 12時) (レス) id: c0a9d4f092 (このIDを非表示/違反報告)
アカリ(プロフ) - 石i川i界i人さんとの絡みが見たいです (2021年12月11日 13時) (レス) id: 2ff7c7d1e3 (このIDを非表示/違反報告)
ジェラート(プロフ) - オチは2希望です (2021年12月5日 21時) (レス) id: 9bd892b1c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:櫻餅 | 作成日時:2021年10月18日 9時