文豪ノ愛情表現 『10』 ページ10
「まーた、厄介事を持ち込んで………」
探偵社の医務室のベッドにて、深く眠りにつき起きる気配の無い洗練された可憐さを持つ少女を煩雑そうに眺める。
敦くんを助けに行ったものの、其の必要は全くなかった。
彼は此の、ポートマフィアの暗殺者である少女を助けるために川へと飛び込んだのだ。
他人を助けるほどの元気があるのならば問題ない。
乗客も全員とは云えないが、無事。与謝野女医も異能力のお陰で無傷だった。
私はホッと胸を撫で下ろした。だがしかし、安心するのも束の間、彼は厄介事を持ち帰ってきたのだ。
「ポートマフィアの暗殺者ってどうなのよ。」
彼が助けた少女と云うのは梶井と共に彼を狙ってきた暗殺者、殺戮に特化した異能力者であり、6ヶ月にして35人殺しの指名手配犯、泉鏡花。
異能特務課でも話題になっていた人物が今、正に此所にいるのである。
この事を安吾さんに伝えるべきか、しないべきか私は頭を抱え悩ませていた。
今迄の罪を償わせるべく、警察に彼女を連れて行ったとしても彼女は確実に死刑、元居た場所に返してきなさい、捨て犬論を出したとしても結局は裏切り者として死刑。
探偵社で保護すると云う手も有るが、彼女は元ポートマフィアの暗殺者であり指名手配犯。彼女を入社させ警察の目を欺いたとするならば、其れは犯人隠避罪になってしまう。此れではリスクが大き過ぎる。
「まあ、黙っててあげるけどさ。」
彼女は人を殺したくて罪をおかしたのではない。ただ、利用されただけ。その事を考えると不憫でならなかった。
仕事柄、情に流されてはいけないと思えど此方だって心のある人間。いたいけな少女を助けたいと思って何が悪い。
其れに35人で死刑になるのなら、私や太宰さんはどうなる?
この世には己の命だけでは償いきれない物があるのだ。
彼女は其れを理解した上で、外の世界に根を広げてほしい。
「敦くん、ちゃんと導いてあげてよ?」
嘗て私や太宰さんを光りある世界に連れ出してくれた'彼'の様に。
私は月に照らされた敦くんの寝顔を尻目に、その場を後にした。
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櫻餅(プロフ) - まゆさん» コメント有難う御座います。現在更新停止中ですが、また更新できるように頑張りたいと思っております。 (2019年5月3日 9時) (
レス) id: c0a9d4f092 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 続編おめでとうございます^_^面白かったです^_^続きが、すごく気になります^_^これからも、頑張って下さい^_^ (2019年5月3日 1時) (レス) id: 406c27ad01 (このIDを非表示/違反報告)
櫻餅(プロフ) - ラズさん» コメント有難う御座います。現在ネタ切れによる更新停止中で申し訳ありません。もう一度お話の流れを整えて、また更新できるように頑張っていきたいと思っておりますので暫くお待ちいただけると嬉しいです。 (2019年4月30日 21時) (レス) id: c0a9d4f092 (このIDを非表示/違反報告)
ラズ(プロフ) - 凄く面白いです！続き、続きを下さい!! (2019年4月30日 12時) (レス) id: 8609e55ade (このIDを非表示/違反報告)
櫻餅(プロフ) - アイカさん» 中々次の話への展開の仕方が思い付かず更新が停止している状態ですが、また書けるように頑張りたいと思っています。コメントありがとうございますm(__)m (2018年6月13日 22時) (レス) id: eb7f0e71e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：櫻餅 | 作成日時：2017年8月21日 13時
