文豪ノ愛情表現 『13』 ページ13
会社の備品調達するために春野さんからお遣いを頼まれ街に出る。
敦くんと鏡花ちゃん、或る意味危険な此の二人。何が起きるか判ったものではないから、彼等をこっそり尾行したかった。けれど如何せん、敦くんの虎の目は視野が広い。
尾行しようものならば直ぐに見附かってしまう。
尾行は潔く諦め、敦くんには昨夜、鏡花ちゃんには着物を受け取った時に盗聴機を付けておいた。
音楽を聞き乍ら歩く一般人を装い街を歩く。
「あの、すみません!」
敦くんと鏡花ちゃんの声をBGM代わりにしながら、目当ての雑貨店まで後半分と云った距離に来た所だった。
若い綺麗な女性に声を掛けられた。
「はい?」
ヘッドホンを耳からずらし、彼女のカナリアが歌うような綺麗な声に耳を澄ませる。
見れば女性は額に大粒の汗をかき、息はきれぎれ。さらさらした長い黒髪は乱れ、茶色の瞳には今にも溢れてきそうな涙を溜めていた。
「あの、えっと―――」
息が整っていない状態で、無理矢理喋ろうとする女性。其の姿を目にし、ただ事ではないと判断した。
「話す前に一旦落ち着いてくだ―――」
「あの、娘を、娘を見ませんでしたか?!」
女性は私の言葉を遮るようにして食い入るように此方へと迫る。
娘が迷子になったのか。
焦る女性とは裏腹に私は至って冷静に状況を把握した。
「娘さんが迷子になったのは判りました。特徴と名前を教えてください。探すのを手伝います。」
此れだけ汗だくの半泣きになってまで娘を探す母親を見て、何だか心痛むものがあり捜索を協力することにした。
お遣いは其の後でも事足りる筈だ。
敦くん達の方も今のところは大丈夫そうである。
「あり、ありがとうございます!!」
「その前に、上がってる息を整えましょうか。」
肩で息をし、ガクガクと小刻みに震え続ける彼女の背中を優しくさすり乍ら、直ぐ傍にあったベンチへと座らせる。
自販機へ走り水を購入。
ベンチで今だに泣きそうな表情を浮かべる彼女に水を渡し、其の隣に腰掛ける。
「娘さんの特徴を教えてもらえますか?」
「えっと、肩まである黒髪をで三つ編みにして、赤いリボンのついた麦わら帽子を被ってます。今日は白のレースがついた赤いワンピースを着ています。名前は岩瀬早苗です。」
水を飲み、やっと冷静さを取り戻した口調で女性は娘さんの特徴を並べていく。
私はメモ帳を片手に特徴と名前を書き記した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 222人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
櫻餅(プロフ) - まゆさん» コメント有難う御座います。現在更新停止中ですが、また更新できるように頑張りたいと思っております。 (2019年5月3日 9時) (
レス) id: c0a9d4f092 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 続編おめでとうございます^_^面白かったです^_^続きが、すごく気になります^_^これからも、頑張って下さい^_^ (2019年5月3日 1時) (レス) id: 406c27ad01 (このIDを非表示/違反報告)
櫻餅(プロフ) - ラズさん» コメント有難う御座います。現在ネタ切れによる更新停止中で申し訳ありません。もう一度お話の流れを整えて、また更新できるように頑張っていきたいと思っておりますので暫くお待ちいただけると嬉しいです。 (2019年4月30日 21時) (レス) id: c0a9d4f092 (このIDを非表示/違反報告)
ラズ(プロフ) - 凄く面白いです！続き、続きを下さい!! (2019年4月30日 12時) (レス) id: 8609e55ade (このIDを非表示/違反報告)
櫻餅(プロフ) - アイカさん» 中々次の話への展開の仕方が思い付かず更新が停止している状態ですが、また書けるように頑張りたいと思っています。コメントありがとうございますm(__)m (2018年6月13日 22時) (レス) id: eb7f0e71e0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：櫻餅 | 作成日時：2017年8月21日 13時
