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仮面4 ページ6

「そうかそうか、其れはAに寂しい思いをさして済まなんだのう。」

「いえ、御仕事ですし仕方有りません。」

 現在、紅葉の姐さんと近くの洒落たカフェでお茶を共にしていた。

「そうかえ?成る程のう、中也も理解ある嫁を貰って幸せじゃ。」

 嬉しそうに笑う紅葉の姐さんを見て、何故だから罪悪感が心に押し寄せてきた。

 理解があるのではなく、特に無関心だから赦せる事もある。と云うか、買い物に付いてきてもらっても、間が持たない、会話が続かないで此方がやりにくい。

 そんな事を考えながら、注文したオレンジジュースを飲み干す。

「中也の代わりと云ってはなんじゃが、(わっち)がソナタの服を選んでやろう。」

「え?!」

突然のお誘いに思わず声をあげてしまった。

「い、いいんですか?」

「勿論じゃ。中也の好みも知っておるし、何よりAに似合いそうな服が売っている店を知っておるからなぁ。」

「あ、有り難う御座います!」

 矢張、紅葉の姐さんとは優しかった。多分、其れは私が中原さんの妻であるからだと思われるが、姐さんの気遣いを迚も嬉しく思った。





「本当に有り難うございました。」

 紅葉の姐さんに色んなブティックに連れていってもらい、沢山服を買ってもらった。

 本当は自分が払うべきなのだが、「お主が此のポートマフィアの一員となった御祝いじゃ」と云って、紅葉の姐さんが買ってくれたのだ。

 荷物は凡て、姐さんの御付きの黒服さん達が持って家まで送ってくれた。

「そんな、服まで買って貰って、黒服さん達に持たせるのは悪いですよ」と遠慮すると、「(わっち)の義理の妹の様な存在になったのに、遠慮なんぞするでない」と姐さんに一喝されてしまった。

そして大人しく家まで送られる私である。

「はあ、憂鬱だ。」

 思わず溜め息が溢れる。

だが其の家に帰っても、夜まで一人ぼっちで、中原さんが帰宅しても会話もないまま、気まずい時間が流れるだけ。

「はあ………」

 紅葉の姐さんに中原さん好みの服を手に抱えきれない程選んでもらったが、其れを私が着こなそうが、何を身に付けようが、きっと中原さんは興味を示さないんだろうな。

 私は姐さんに選んでもらったばかりの、真新しい白のワンピースの裾をちょんちょんと引っ張りながら俯く。

「帰りたくない。」

 私の泣きそうで小さな呟きは、夕陽の光を浴びて、黒く光るリムジンのエンジン音に掻き消された。

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座敷わらし(プロフ) - 夕霧さん» 有り難う御座います! (2017年7月25日 20時) (レス) id: 3af3fdf8cd (このIDを非表示/違反報告)
夕霧(プロフ) - とても面白いですね! 更新楽しみにしています! (2017年7月23日 1時) (レス) id: fb8453ace7 (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - きせつふう。さん» ありがとうございます!中々更新できていませんが、頑張ります! (2017年5月29日 22時) (レス) id: 087f4a5487 (このIDを非表示/違反報告)
きせつふう。(プロフ) - 続き気になります.....!更新待ってます!とっても面白いので頑張って下さい! (2017年5月26日 20時) (レス) id: 1841832f9e (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - 椿さん» 有り難う御座います! (2017年5月12日 19時) (レス) id: e75982502b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:櫻餅 | 作成日時:2017年4月20日 18時

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